2025.12.17

介護離職とは何か?現状や対処法について解説!

少子高齢化による影響で、家族の介護を理由に離職する人も少なくありません。
本記事では介護離職に関する情報をまとめ、その防止策についても解説していきます。

介護業務効率化とは何か?

まずは介護離職の現状や、その背景から確認していきましょう。

介護離職とは?

介護離職とは、家族の介護を理由に仕事を辞めることです。
少子高齢化が進む日本において、自分自身の家族や配偶者の親が高齢になることにより、介護が必要となるケースが増えてきています。
そのため、働きながら介護を両立することが困難になり、結果として離職を選択せざるを得ない人たちが多くなってきています。

介護離職の現状

近年、介護離職者の増加が社会問題となっています。
介護が必要になる高齢者の年齢は70~80代が多く、その子ども世代である40~50代の働き盛りの世代が離職するケースが増えています。
介護離職は、本人にとって経済的負担やキャリアの中断といったリスクを伴うほか、企業にとっても経験豊富な従業員が辞めてしまうことは大きな損失です。
特に管理職や専門職の人材が離職すると、組織全体の生産性にも影響を及ぼします。

介護離職の要因

介護と仕事の両立が困難になることが、介護離職のもっとも大きな要因とされています。
仕事で疲れた状態で家族の介護を続けると、精神的・肉体的な負担が増大し、最終的には体調を崩して離職せざるを得なくなります。
また、介護サービスの利用が難しいことも問題で、要介護認定を受けていても施設が満員で入居できなかったり、経済的な理由があったりして適切なサービスを受けられないケースもあります。
そのほか企業の支援制度が不十分な場合も、介護のための休暇取得が難しく、職場での理解が得られないことも少なくありません。
十分なサポートや支援がなければ同僚から冷たい目で見られたり、仕事へ支障をきたすことに対して責められたりすることもあります。

介護離職の割合

令和4年度に総務省が行った「就業構造基本調査」によると、2022年の1年間で介護や看護を理由に離職した人は106,200人ほどです。かつ9割が40歳代の人が占めていることが分かり、深刻な問題となっていることがうかがえます。
参照:総務省「令和4年就業構造基本調査

介護離職のメリットとデメリット

介護離職についてよいイメージを持てない人も多いかもしれませんが、離職したことによって起こり得るメリットもあります。介護離職のメリットとデメリットについて、それぞれ解説していきます。

介護離職のメリット
介護離職の最大のメリットは、家族の介護に専念できることです。 仕事を辞めることで介護に十分な時間を確保でき、家族の状況に合わせた柔軟な対応が可能になります。 特に24時間の見守りが必要な場合や、定期的な通院の付き添いが必要な場合には、大きなメリットでしょう。 また、家族との時間を大切にできることも魅力の一つで、介護に追われるだけでなく一緒に過ごす時間が増えることで、家族の絆が深まり心のゆとりが生まれます。 要介護者が親や配偶者の場合、残された時間を大切にしたいと考える人にとっては、大きな意味があります。 さらに仕事のストレスから解放されることで、精神的な負担が軽減される点もメリットです。 仕事と介護の両立は時間的・体力的に厳しいため、離職することで心身の負担が軽くなり、より落ち着いた気持ちで介護に向き合うことができます。

介護離職のデメリット
介護離職のデメリットの一つが収入の減少で、仕事を辞めると毎月の給与がなくなるため経済的な不安が増します。貯蓄や介護保険のサービスを活用できたとしても、長期間の介護が必要になると金銭的な負担が大きくなるでしょう。また、介護が落ち着いた後に再び仕事を探そうとしても、年齢やブランクの影響で希望する職に就くのが難しくなる可能性も考えられます。 特に専門的なスキルを要する職種では、キャリアの中断は再就職のハードルを高める要因になります。 さらに、社会とのつながりが希薄になる点も見逃せません。仕事を辞めると同僚や取引先との関係が途切れて外部との交流が少なくなり、孤立感を抱くこともあるでしょう。

介護離職に対する国の制度

介護離職の問題が深刻化する中で、国でもさまざまな政策が実施されています。
ここでは介護離職に対する国の制度について解説していきます。

介護休業制度
介護休業制度の被保険者である場合は、「介護休業給付金」(休業開始前の給与水準の67%)が支給され、休業期間中の収入を補助する制度でもあります。 ただし、休業中に通常どおりの給与が支払われた場合は、給付金が減額または不支給になってしまうため確認しておきましょう。

介護休暇
介護休暇も家族の介護のために一時的な休みを取得できますが、介護休業とは異なり短期間(1年に対象家族1人に対して5日まで)の制度です。 長期的な介護というよりは、病院の付き添いや急な体調不良など突発的な出来事に対して利用される場合が多いです。

所定外労働・時間外労働・深夜労働の制限
家族の介護を理由に、勤務先へ所定外労働や時間外労働、深夜労働の免除を申請できる制度です。 1回の申請につき1カ月以上1年以内の期間で利用でき、回数の制限はないため、介護の状況に応じて柔軟に活用できる仕組みです。 時間外労働の制限では原則として1カ月あたり24時間、1年で合計150時間を超える時間外労働をさせてはならないと定められています。 深夜労働の制限にも適用され、介護の申請をした労働者に対して原則として1カ月以上6カ月以内の期間にわたり免除されます。 労働者は勤務先と相談しながら、適切に制度を活用するのが望ましいでしょう。

両立支援等助成金
両立支援助成金とは、従業員の仕事と家庭の両立支援を行っている中小企業に対して支給される助成金制度のことです。 制度の中にある「介護離職防止支援コース」により、企業は介護休業や介護両立支援制度、業務代替支援のいずれかを、それぞれの要件を満たした上で実施することで利用できます(1年度に5人まで利用可能)。
例えば、介護休業の要件は以下のとおりです。
・介護休業の取得・職場復帰支援に関する方針の社内周知
・労働者との面談を実施し、プランを作成・実施
・対象労働者が連続5日以上の介護休業を取得し、復帰後も支給申請日まで継続雇用

これらの要件を満たした上で期限内に申請すると、以下の金額が支給されます。
・介護休業:介護休業の取得および職場復帰で40万円
・介護両立支援制度:制度の導入と利用状況によって20万円または25万円
・業務代替支援:業務代替要員の新規雇用で20万円/業務代替者への手当の支給で3万円または5万円

介護離職に対する企業の支援策

介護休養・休職

続いて、企業による介護離職に対する支援策の事例について解説していきます。
勤務する企業によって対応が異なるため、あらかじめ把握しておくことが大事です。

相談窓口(メンタルケア)

介護に関する相談窓口を設置し、従業員のメンタルケアや国の支援策の情報提供を行う企業も増えています。従業員が抱えている悩みを吐き出す場でもあり、話を聞くことで精神的ストレスの緩和にもなります。

職場での情報共有

職場内で従業員の家族の介護状態などの情報を共有し、支え合える環境づくりが推進されています。
例えば、家族の体調変化によって急に仕事を休む必要があった場合についてあらかじめ話し合いをしておくことにより、従業員同士お互いにストレスを感じることなく、それぞれの対応を進められます。

マッスルスーツ Every(エブリィ)について

介護離職の要因として挙げられるのが、介護者にかかる肉体的な負担です。
そのような悩みに効果的な、マッスルスーツ Every(エブリィ)について解説していきます

マッスルスーツ Every(エブリィ)とは

マッスルスーツ Every(エブリィ)とは、さまざまな企業において、現場での肉体労働による労働者をサポートするためのアシストスーツです。
体に装着することで主に腰への負担を軽減する効果があり、近年では介護現場でも導入されることが多くなってきています。
装着のしやすさや丈夫さ、電気を使わないため稼働時間を気にする必要がないという利点があり、介護者の肉体的負担を和らげることで介護離職を防げる可能性があります。

マッスルスーツ Every(エブリィ)の効果

このスーツを使用することで、介護者の腰への負担が軽減されます。 介護業務では中腰姿勢や持ち上げ動作が多く、腰を痛めるリスクが高いため、マッスルスーツの利用は効果的です。 長時間の介護業務でも体への負担を抑えることができ、体力的な負担を理由とした離職の防止にも貢献します。 さらに、介護者の疲労が軽減されることで業務効率が向上し、より質の高いケアを提供できるでしょう。

「マッスルスーツ エブリイ」について
デモなどお気軽にお問い合わせください。

まとめ

介護離職とは家族の介護を理由に仕事を辞めることで、特に40~50代の働き盛りの世代で増加している社会的な問題です。
介護離職には時間に余裕ができたり、介護のストレスが軽減されたりするメリットがあります。
一方で収入の減少やキャリアの中断、社会とのつながりの希薄化といったデメリットもあるため、慎重な判断が必要でしょう。
国が行う支援としては介護休業制度や介護休暇、所定外労働・時間外労働・深夜労働の制限、両立支援等助成金などがあり、仕事と介護の両立をサポートしています。
また、マッスルスーツEvery(エブリィ)を活用することで、介護者の身体的負担を軽減できます。
介護離職を防ぐために支援制度やツールを活用しましょう。

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