
現在、介護業界では業務負担の軽減や情報管理の向上を目的として、介護記録の電子化が推進されています。手書きによる記録では、記入ミスや情報共有の遅れが発生する可能性があるからです。
本記事では、介護記録の電子化が求められる背景や導入による効果、導入時に注意すべきポイントについて詳しく解説していきます。
効率的な業務運営を実現するために、ぜひ参考にしてください。
介護記録の電子化はなぜ進まない?
多くの企業においてペーパーレス化が推進される中、介護業界ではその変化に後れをとっているともいわれています。介護記録の電子化が進まない要因を、現状を踏まえて解説していきます。
介護記録電子化の現状
現在、多くの介護施設では紙ベースの記録が主流ですが、一部の先進的な施設ではICT技術を活用した電子化が進んでいます。厚生労働省も介護業務の効率化を推進するためにICT導入を支援していますが、実際の導入率は低いのが現状です。
各事業者も記録の電子化の重要性を感じているものの、うまく進めることができていない事業所は全体の8割もあるとされています。
介護記録の電子化が進まない要因
前述のとおり、介護現場では業務の効率化が求められる中で、記録の電子化がなかなか進まないのが現状です。主な要因としては導入コストの負担が挙げられ、特に小規模な事業所にとってはシステム導入にかかる初期費用や維持費が大きな障壁となります。
また、電子記録は誰が入力したかが分かりにくく、記録の改ざんリスクが懸念されています。
手書き記録に長年慣れてきた職員にとっては、業務フローの変化に対する心理的な抵抗も大きな理由の一つです。
介護記録電子化の必要性
少子高齢化の進行により、介護の需要は今後ますます増加すると予想されています。
一方で、介護職員の人材不足は深刻化しているため、限られた人手で質の高いケアを提供していく必要があります。
そのような状況の中で、介護記録の電子化は業務の効率化を図り、現場の負担を軽減するために不可欠な手段です。
紙の記録では時間がかかっていた入力作業や情報の整理も、デジタル化により短縮され、他職員との情報共有もリアルタイムで行えるようになります。
職員の業務負担を減らしながら、利用者へのサービスの質を向上させるためにも、記録の電子化は今後の介護現場において重要な取り組みです。
介護記録の電子化のメリット・デメリット
介護記録の電子化には具体的にどのようなメリットがあるのか、またデメリットについても解説していきます。
介護記録の電子化のメリット
介護記録を電子化することにより、業務を効率化できるのがメリットです。
記録時間が短縮されることで、介護職員が利用者と向き合う時間を確保しやすくなり、ケアの質も向上するでしょう。
また、記録の正確性が高まる点も大きな利点であり、電子化にすることで読み間違いや記入漏れが起きにくく、データの整合性が保たれます。
さらにリアルタイムで記録が反映されるため、ほかの職員との情報共有がスムーズになり、過去の記録も簡単に確認できます。
介護記録の電子化のデメリット
一方で、介護記録の電子化にはいくつかのデメリットも存在します。まず、システムや端末の導入にあたって初期費用がかかるため、特に小規模な事業所では負担が大きくなることがあります。
また、現場で働く職員の中にはパソコン操作や機器に不慣れな人も多く、業務に定着するまでに時間を要することも課題です。
加えて、システム障害や通信トラブルといった機器の不具合が発生した際には、記録業務が一時的に停止してしまうリスクもあります。
場合によっては更新時にシステムをいったん停止しなければならないこともあり、業務が中断する可能性もあるため、導入後の運用体制やサポート体制の整備が重要です。
介護記録の電子化を導入する手順 6STEP

続いては、介護記録の電子化を導入する際の適切な手順について解説していきます。

ICT導入の計画を立てる
電子化に向けた導入計画を策定し、導入の目的や課題、スケジュールを明確にしましょう。これらを時間をかけて丁寧に行うことが、成功への第一歩となります。

適切なICT機器を選定する
施設の目的と課題に合ったシステムや端末を選定し、運用しやすい環境を整えます。 現場の声をしっかり聞くことで、自施設に合ったシステムを選ぶことができます。

業務プロセスをICTに適応させる
従来の業務フローを見直し、ICTシステムに最適化したプロセスを構築します。
電子化できそうな書類について考えることも重要です。

ICT機器の導入と運用環境を整備する
ICT導入の担当者を決めて必要な機器を設置し、スムーズに運用できる環境を整えます。
デジタル機器の設置や工事が入る場合があるので、整理整頓を意識しましょう。

介護スタッフ向けの研修を実施する
現場職員向けにICTに関する研修を実施し、システムの操作方法や活用方法を周知します。業務の関係で研修に参加できない職員もいるため、複数回に研修日を分けて実施することも有効です。

介護記録の電子化による効果を検証する
導入後は業務効率の向上や課題点を検証し、必要に応じて改善策を講じます。これらを定期的に行うことで、システムを使いこなす方法や業務改善案が生まれることもあります。
介護記録の電子化を推進する際のポイント
ここで解説するポイントを意識することで、介護記録の電子化を円滑に進めていくことができます。。
介護記録や情報共有のルール作り
電子記録を適切に活用するためには、入力方法や保存場所、共有手順などを明確に定め、全職員が統一された運用を行えるようにすることが重要です。
これまでの手書き業務の課題を見直し、電子化によって業務の負担が軽減されるような仕組みを整えることが求められます。
外部関係者や利用者家族への説明
電子化に伴う変化に対して、利用者家族や関係機関への丁寧な説明も欠かせません。情報管理の方法や個人情報保護の取り組みなどを分かりやすく伝え、安心感を持ってもらうことが大切です。 特にICTに詳しくない方に対しては、専門用語を避けた説明が求められます
現場職員の研修期間の確保
新しいシステムの操作に不安を感じる職員も多いため、十分な研修期間を設けて理解を深めてもらいましょう。システム導入時には業者による説明会や実地での操作指導を取り入れ、現場で起こり得る疑問やトラブルにも対応できるようにしておくことが重要です。
当日に参加できない職員がいる可能性を考慮し、複数の日程を設けておくとよいでしょう。
絆Coreシリーズで介護現場の記録をより便利に!
「絆Coreシリーズ」は、介護現場の業務を効率化するために開発された、ICT技術を活用した介護記録システムです。パソコンやタブレット端末を使って、介護記録や各種管理業務をリアルタイムで入力・共有できるため、現場の情報伝達がスムーズになります。
また、音声入力機能や翻訳機能も備わっており、外国人スタッフが働く現場でも円滑に記録業務を行える点が特徴です。見守りセンサーなどの介護ロボットと連携することで、利用者の動きに応じた検知データを自動で記録に反映することも可能です。
こうした多機能性により、絆Coreシリーズは現場の負担軽減や業務の質向上に貢献します。
介護記録の電子化を検討している事業所は、チェックしてみましょう。
まとめ
本記事では、介護記録の電子化が進まない理由や導入のメリット・デメリット、具体的な導入手順について解説しました。
電子化は業務の効率化や記録の正確性向上に貢献しますが、導入には計画的な準備が不可欠です。
適切なシステムを選定し、現場の職員と協力しながらスムーズに移行を進めていきましょう。