2024.04.04

キッティングとはどんな作業?手順や注意点などまとめて解説

キッティングの注意点

キッティングを行う際は、次のことに注意しましょう。

同梱物や書類の管理

マニュアルなどの同梱物や書類、余ったコード類は、キッティングが完了した後も保管するようにしましょう。事前に保管場所や保管方法を決めておくと、トラブルが起きたときも素早く対処できます。最近は電子化されたマニュアルもあるため、共有フォルダなどに保存し、いつでも閲覧できる状態にしておくと便利です。

設定状態の保管と復旧

キッティングが済んだら、設定した内容・結果をスクリプトやバッチなどに記録し、常時参照できるようにしておきましょう。設定ミスがあったり初期化が必要になったりした場合でも、設定状態の記録があれば、スムーズに復旧作業を進められます。その際、キッティングのミスがあった場合の対応方法も考えておきましょう。

また、ホスト名やIPアドレス、MACアドレスといったインベントリ情報も一覧にまとめることで、不具合が起きたときも迅速に対応できます。パソコン本体には管理番号ラベルを貼り、すぐに参照できるようにしておくと、端末を識別しやすくなります。

手作業は負担が大きいことがある

手作業でのキッティングはすぐに始められる一方で、台数や作業工数によっては担当者に大きな負担をかける可能性があります。作業台数が数十台に及ぶ場合や部署ごとに設定が異なる場合、すべての作業を人力で行うことは現実的ではありません。キッティングを行う際はどのくらいの時間・工数がかかるのか、必要なリソースを把握し、場合によってはクローニングやアウトソーシングも検討しましょう。

複製はしない

多くの有償アプリケーション・ソフトウェアでは、プログラムの複製が禁止されています。許可なく複製した場合はライセンス違反となり、懲役や罰金などのペナルティを受ける可能性があります。

クローニングを行う場合は、複数のライセンスをまとめて取得できるボリュームライセンスが必須です。必ず事前に、台数分のライセンスを購入しておきましょう。

セキュリティ対策を怠らない

自社の大切な情報を守るには、万全なセキュリティ対策が必須です。セキュリティの設定にミスがあった場合、情報漏洩などの重大な事故にもつながりかねません。そのような事態にならないためにも、セキュリティソフトのインストールやネットワークのセキュリティ設定は、確実に行なっておきましょう。

担当者が複数いる場合は違いが出る可能性がある

複数人の担当者でキッティングを行う場合は、仕上がりに違いが出ないよう注意が必要です。事前に担当者間で手順や作業内容を共有しておき、作業後は仕上がり状態を確認するようにしましょう。

大量のキッティング作業を軽減する方法①クローニング

前述したように、手作業によるキッティングは担当者の負担となるうえに、作業が属人化しやすいなどのデメリットがあります。そのため、複数台のパソコンを同時にキッティングする場合は、クローニングで作業の負担を軽減することも方法の一つです。

クローニングとは?

キッティングのひな形となるマスターPCを作り、他の端末に複製することを「クローニング」と言います。すでに設定されたOSやソフトウェアのデータを写すことで、個別に設定しなくても、1度に複数台のキッティングを実行できます。

クローニングのメリット

クローニングは、1度に大量のパソコンをキッティングできるため、作業の負担を軽減できるメリットがあります。担当者の負担が減る分、他の業務に時間を割けることで、業務の効率化や生産性の向上も期待できるでしょう。

また、パソコンが故障した場合もマスターPCがあれば、すぐに代替機を用意できます。担当者による設定の違いやミスもないため、作業品質を同一に保てるでしょう。

クローニングのデメリット

クローニングでは、マスターPCの作成と検証に数週間~1か月程度かかるため、作業する台数や期間によっては間に合わない可能性があります。複数の機種を同時導入する場合、機種ごとにマスターPCを作る手間も発生します。加えて、クローニングを効率よく行うには、専門的な知識と技術が必要です。他にも、プリインストールされたパソコンが使えないことや複製するデータの重複に注意しなければならないなど、さまざまな制限があります。

大量のキッティング作業を軽減する方法②外注する

自社で大量のキッティング作業を行うためのリソースが確保できない場合は、キッティング業者に外注するのが有効です。ここからは、キッティング作業を外注することのメリット・デメリットを解説します。

外注のメリット

キッティング作業を外注するメリットには、次のようなものがあります。

<IT運用にかかるコストやリソースを節約できる>

キッティング作業を外注するメリットは、IT運用にかかるコストやリソースを節約できることです。資金と人員に余裕が生まれることで、本来注力すべき業務やプロジェクトにリソースを割けるようになります。

<作業品質を向上できる>

IT機器の専門家である業者にキッティングを任せられることで、作業品質の向上が期待できます。自社でのキッティング作業は、主に情報システム部などの担当者が通常の業務と並行して行うため、担当者による設定の違いやミスが起きがちです。しかし、キッティング業者なら、専門的な知識とノウハウに基づいて作業を行うため、従業員に高品質な業務環境を提供できるでしょう。

<IT資産管理が効率的に行える>

多くのキッティングサービスでは、作業が完了すると作業報告書を作成してくれるため、その後のIT資産管理が効率的に行えます。なかには管理番号ラベルの貼り付けや管理台帳の記入も代行している業者もあり、システムトラブルにより復旧が必要になった場合や棚卸の際に端末の照合がしやすくなります。

外注のデメリット

キッティングをアウトソーシングする場合は、メリットだけでなく、デメリットも評価して適切な対策を行うことが大切です。具体的には、次のようなことがデメリットとして挙げられるでしょう。

<費用がかかる>

キッティングサービスでは、台数や工数に応じて数万円~数十万円の費用がかかります。複数台のキッティングを依頼する場合は、別途見積もりが必要になることもあるため注意が必要です。

一方、小規模のキッティングであれば、ほとんどの場合1台あたり2,000~4,000円の費用で済みます。依頼する台数が多ければ多いほど、費用も高くなることを理解しておきましょう。

<セキュリティが依頼先に依存する>

キッティング作業を外注した場合、ソフトウェアやネットワーク機器のセキュリティが依頼先に依存することが懸念されます。情報漏洩が起きた際、自社でセキュリティをコントロールできなければ、迅速に対処できません。特に個人情報や機密情報を扱う企業では、キッティングのプロセスについて依頼先と情報共有を行い、リスクを分散することが重要です。


「キッティングを行う上での注意点」「大量のキッティング作業を軽減する方法」は以上になります。

次のページでは、「キッティング業者の選び方」をまとめています。

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