2024.04.04

キッティングとはどんな作業?手順や注意点などまとめて解説

キッティングは、企業のIT資産を適切に管理するために必要不可欠な作業です。新入社員の入社や端末の交換に向けて、キッティングを始めようとしている企業も多いのではないでしょうか?

本記事ではキッティングの作業内容や手順、注意点を解説します。外注のメリットやデメリットも解説するため、これからキッティングを検討・実施する方はぜひ参考にしてください。

キッティングとは

キッティングを理解するには、まず概要や基礎知識を押さえる必要があります。「セットアップ」や「LCM」といった他の用語との違いも含めて確認していきましょう。

キッティングとは?

キッティングとは、新たに導入したパソコンなどのデバイスを初期状態から業務に利用できるよう、設定や調整を行う作業全般のことです。たとえば、新入社員の入社や従業員の異動、機器の故障・更新による入れ替えなどの場面で実施されることが多いでしょう。作業内容は業務に必要なソフトウェアのインストール、ネットワーク接続、ドライバ・ツールの設定など多岐に及び、部署や役職によっては、個別の設定が必要になることもあります。

セットアップとの違い

キッティングのセットアップとの違いは、対象となる作業の範囲にあります。

セットアップは、OSの設定までが作業の範囲であり、業務で使うプログラムのインストールなどを含みません。また、キッティングで必要とされる細かいシステムの設定や、管理台帳の記入も行われないことが特徴です。

一方、キッティングは、OS設定以外にもアプリケーションやソフトウェアのインストール、個別調整を行い、ユーザーがすぐに業務を開始できる状態にします。端末をビジネス向けの仕様に整備するキッティングの中に、セットアップも含まれると捉えておくとよいでしょう。

LCMとの違い

LCM(Life Cycle Management)とは、キッティングを含め、企業におけるIT機器の運用・保守、管理をサポートするためのアウトソーシングサービスです。キッティングがデバイスのセットアップやソフトウェアのインストールのみを行う作業であるのに対し、LCMは機器の選定からメンテナンス、更新、処分まで一貫して行います。

「マネジメント」という言葉からも想像されるように、IT機器に関するトータルサポートを行う点がキッティングとの大きな違いと言えるでしょう。

キッティングに求められる知識やスキル

キッティングに必要な知識やスキルは、作業の内容や難易度によって異なります。必要最低限の知識・スキルとしては、次のようなものが求められるでしょう。

基本的なパソコンの操作

キッティングでは設置や配線の他、アプリやソフトウェアのインストールを行うため、基本的なパソコンの操作ができなければ務まりません。また、プリンタなどの周辺機器を扱う場合は、接続方法や機器そのものの使い方に関する知識も求められます。基本的な操作とは言っても、広範囲の知識が必要になることを理解しておきましょう。

サーバーやネットワーク関連の知識

ITがビジネスの主軸となりつつある現代では、キッティングにおいて、サーバーやネットワークの接続・設定を行うことが不可欠です。新型コロナウイルスの流行以降、リモートワークや在宅ワークを推進する企業が増えていることからも、業務を円滑に遂行するためのネットワーク環境を整える必要があります。

サーバーやネットワーク関連の機器は、構造が複雑です。セキュリティ面にも配慮して作業しなければならないため、より専門的な知識・スキルを持っていることが望ましいでしょう。

コミュニケーション能力

キッティング作業は複数人で行う場合が多く、円滑に進めるにはコミュニケーション能力が必要になります。他のメンバーや管理者と進捗状況を共有したり、部署の要望を聞いたりなど、臨機応変な対応が求められるでしょう。

キッティング作業が適している人の特徴

キッティングでは、同じ作業を繰り返し行うため、黙々と作業を続けられる人に向いています。細かい設定や調整が必要になる点では、細部まで注意を払える人も適任です。ITパスポートなどのIT関連の資格を持っている人なら、よりスムーズに作業を進められるでしょう。

キッティングの手順と作業内容

ここからは、キッティングの手順と作業内容を解説します。

キッティング作業前にしておくこと

キッティングを行う際は、あらかじめ次のことも確認しておきましょう。

<手順の確認>

作業内容が多岐にわたるキッティングでは、事前に手順を確認することが大切です。ささいな設定ミスや接続の間違いでも業務の支障となりかねないため、作業手順書などを作成し、問題点がないか検証しておきましょう。

<スケジュール管理>

キッティングは作業が完了するまでに多くの時間がかかるため、綿密なスケジュール管理が必須です。作業中は、思わぬトラブルにより、作業が遅れることも予想されます。その際、スケジュールが切迫している状況では、社員に最適な業務環境を提供できません。

<セキュリティ対策>

キッティング作業の前に、セキュリティ対策を入念に行うことも非常に重要です。従業員が業務と無関係のサイトやソフトウェアを利用した場合、コンピューターがウイルスに感染したりサイバー攻撃を受けたりする恐れがあります。使用アプリの制限やフィルタリング設定、盗難・紛失時のロック機能など、あらゆる方面からセキュリティ対策を講じておきましょう。

キッティングの手順

キッティングの大まかな手順は、次の通りです。

①梱包の開封と周辺機器の確認

はじめにパソコンの梱包を開封し、キーボードやマウスなどの周辺機器、付属品が揃っていることを確認します。パソコン本体にキズや欠陥がないかもしっかりと検品しましょう。

②通電と周辺機器の接続

パソコンの電源を入れ、出荷状態であることを確認します。正常に動作することを確認できたら、キーボードやマウスなどの周辺機器を接続しましょう。

③初期設定とネットワーク接続

OSを起動し、地域や言語などの設定をします。バージョンが更新されている場合は、必要に応じてアップデートも行ってください。

ネットワークの接続は、有線LANかWi-Fiかで設定方法が異なります。SSIDやアクセスポイントを確認し、社内ネットワークへの接続を完了させましょう。なお、機器やOSの種類によっては、OSの初期設定前にネットワーク接続が必要な場合もあります。

④アプリケーションやセキュリティソフトのインストール

アプリケーションやセキュリティソフトをインストールし、ライセンス認証を行います。業務で使用するアプリケーションとしては、ExcelなどのOffice製品、メールソフトが代表的です。セキュリティソフトをインストールする際は、HDD・SSDの暗号化など、自社のセキュリティポリシーに合ったセキュリティ対策を行いましょう。

⑤周辺機器の設定

プリンターやスキャナなどの各種ドライバー、ツールの設定を行います。設定後は、データの送受信や印刷が問題なくできるか、実行して動作を確認しましょう。


「キッティングとは」は以上になります。

次のページでは、「キッティングを行う上での注意点」「大量のキッティング作業を軽減する方法」をまとめています。

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