2024.04.09

PC-LCMとは?利用するメリットや導入のポイントを知ろう!

近年、IT管理業務の負担が増大していることやリモートワークの拡大により、PC-LCMを導入する企業が増えています。PC-LCMの導入方法には、外注する場合と社内対応する場合があり、自社に適した方法を選択する必要があります。

本記事では、PC-LCMのメリットや導入のポイントを解説します。これからPC-LCMを導入しようと考えている方はぜひ参考にしてください。

PC-LCMとは

はじめにPC-LCMの概要や導入傾向について解説します。

PC-LCMとは?

PC-LCMとは、「Personal Computer Life Cycle Management(PCライフサイクル管理)」の略語で、企業が使用するパソコンの調達・導入・運用・廃棄というサイクル業務をサポートするサービスです。多くの企業にとって手間がかかるパソコンの管理業務をまるごとカバーできることで、業務の効率化や生産性の向上などの効果が見込めます。

PC-LCMの必要性

PC-LCMの必要性が高まっている背景としては、近年におけるIT管理業務の負担が挙げられます。一般的に、企業でパソコンを導入する際は、導入の企画から機器の選定、運用計画の策定、初期設定など、多くのプロセスを踏まなければなりません。また、運用にも相当数の人材が必要になり、入れ替えや更新を行う場合は使わなくなった端末の廃棄が必要です。こうしたパソコンの運用・管理を通常業務と並行して行う場合も多く、業務効率が低下する要因にもなるでしょう。

加えて、ビジネスのデジタル化・IT化が急速に進んだことで、今までの管理体制では対応しきれなくなったのも理由の一つです。なかでも新型コロナウイルスの流行と働き方改革の影響が大きく、リモートワークやテレワークが推進されるとともに、オフィス外のパソコンも管理する必要性が生じてきました。そのため、より広範囲をカバーできるPC-LCMが求められるようになったと言えます。

PC-LCMは需要が拡大している?

2021年11月に発表された市場調査レポートでは、PC-LCMを含めたライフサイクルマネジメント事業の市場規模が、2027年までにCAGR6.8%の速度で成長すると予測しています。利益に換算すると約419億米ドルに及ぶとされ、今後もPC-LCMの需要が伸び続ける可能性は高いといえるでしょう。

PC-LCMを利用するメリット

PC-LCMを利用するメリットは、次の6つです。詳しく確認していきましょう。

専門家のサポートが受けられる

PC-LCMを利用するメリットは、やはり専門家のサポートが受けられることでしょう。従業員からの問い合わせやトラブル発生時も、専門的な知識とノウハウを有した技術者が対応してくれるため、問題の早期解決が可能です。

自社に合ったデバイスを導入できる

自社に合ったデバイスを導入できるのも、PC-LCMならではのメリットです。IT技術の進歩により、さまざま機能・スペックのパソコンが開発される中、自社に最適なデバイスを導入するには相応の知識と時間を要します。PC-LCM なら、専門家が自社のIT環境を把握したうえで、希望に沿ったデバイスを選定してくれるため、安心して任せられます。

トータルコストの削減

PC-LCM は、トータルコストの削減にも役立ちます。通常の管理方法では、初期費用の計算はできても、運用費用や廃棄費用まで予測することは難しいのが現状です。一方、PC-LCMは、パソコンの購入から廃棄までの流れを1つのライフサイクルとして可視化し、最適な選択をするため、結果的に管理業務全体の費用を抑えられるようになります。

セキュリティの強化

PC-LCMなら、社内にあるパソコンの設定を統一することで、端末によるセキュリティ設定のばらつきをなくし、安定したセキュリティ環境を構築できます。また、パソコンを廃棄する際も、適切にデータを処理するため、情報が外部に漏れる心配もありません。

PDCAサイクルの改善

PC-LCMサービスの中には、運用後もPDCAサイクルを回すことで、運用方法・管理方法の改善を支援するものもあります。効果的なPDCAサイクルにより、業務品質の向上やコスト削減などの効果が期待できるでしょう。

使用年数の最適化

パソコンの使用年数を最適化できる点でも、PC-LCMは優れたサービスと言えます。パソコンは平均寿命である5年を目処に入れ替えるのがよいとされていますが、実際はそれよりも長く使用されている場合が多く、古いパソコンを使い続けていると業務効率が下がってしまいます。また、古いパソコンを使用し続けた場合、新しい機能に対応できず、動作不良を起こしたりウイルスに感染したりなど、業務に多大な影響を及ぼしかねません。PC-LCM を利用すれば、最適な使用年数で機器の廃棄、入れ替えを行うため、常に最新のテクノロジーを取り入れられるようになります。

PC-LCMのサービス内容

PC-LCMは、次の5つのサービスに分かれています。ここからは、それぞれの内容とポイントを解説します。

デバイスの選定と調達

企業の希望や条件に沿ってデバイスを選定・調達します。選定する際は、利用目的や必要なスペック、予算などの要素をバランスよく考えながら検討しなければなりません。製品に関する幅広い知識が求められる大切な作業です。

マスターイメージの作成

パソコンの初期設定やソフトウェアのインストールを自動化するためのマスターイメージを作成します。マスターイメージは、キッティングのひな形とも言える重要なデータです。設定にミスや漏れがあると、パソコンが動作不良を起こす原因となるため、高度な知識と技術が求められます。

キッティング

キッティングとは、OSのセットアップやソフトウェアのインストールなど、業務上必要となる各プログラムの設定・調整を行うサービスを指します。複数台のパソコンを導入している企業では、マスターイメージを使ったクローニングと呼ばれる方法で行われる場合がほとんどです。1度に大量のパソコンをキッティングできるため、設定作業の負担が軽減され、すぐに業務を開始できるようになります。

ヘルプデスクの設置

ヘルプデスクには、オンサイト型とオフサイト型の2種類がありますが、どちらも運用時のサポートや修理をしてくれるサービスです。従業員からの操作に関する問い合わせやトラブルの対応も業務に含まれており、問題の早期解決・復旧が可能になります。

廃棄

PC-LCMは、不要になったパソコンを廃棄することで1つのサイクルが終了します。業務上保護されるべき重要なデータを、復元不可能な形で消去してくれるため、情報漏洩のリスクを回避することが可能です。データの消去方法には、ソフト消去、磁気消去、物理破壊などがありますが、最近ではサスティナブルを意識してリサイクルに取り組む例も増えています。

PC-LCMは外注すべき?社内対応すべき?

PC-LCMの運用方法には、外注する方法と社内対応する方法があります。ここからは、それぞれのメリット・デメリットも踏まえて、どちらの方法を選択すべきか確認していきましょう。

外注する場合

PC-LCMを外注した場合、パソコンの調達・運用・廃棄の業務をまるごと任せられるため、自社における管理の負担を軽減できるメリットがあります。また、本来注力すべき業務やプロジェクトにリソースを割けるようになることで、業務の効率化や生産性の向上も期待できるでしょう。業者によってはヘルプデスクの設置や修理にも対応しているため、社内に適任者がいない企業でも安心して利用できます。

注意しなければならないことは、サービスの利用に費用が発生する点です。PC-LCMを外注する場合は、自社の規模や資産状況を把握したうえで業者を選定するようにしましょう。

社内対応する場合

小規模の事業所やパソコンの台数が少ない場合は、社内対応が可能です。PC-LCMを社内対応すると、メンテナンスやトラブル発生時の対応をスムーズにできるメリットがあります。また、自社の人材を活用できるため、コストを抑えて運用したい場合にも有効です。

ただし、社内対応では担当者の負担が大きくなる他、専門的なスキル・技術をもった人材がいないと成り立たないことが懸念されます。

PC-LCMを外部委託する際のポイント

PC-LCMを外部委託する際は、以下のポイントに注意して業者を選びましょう。

サービスの範囲を確認する

業者によって対応できるデバイスやサービスは異なるため、自社が希望するサービスを受けられるか確認することが大切です。また、キッティングについても、設定できるOSや作業範囲が自社に合ったものでなければなりません。他にも、修理に対応しているか、ヘルプデスクの設置は可能かなど、サービスの詳細まで確認しておくとよいでしょう。

実績を確認する

PC-LCMの委託先を選ぶ際は、技術者のスキルや技術はもちろん、実績があるかどうか確認することも重要です。実績が豊富な業者であれば、安心して運用を任せられるだけでなく、トラブル発生時も柔軟な対応が期待できるでしょう。

セキュリティ体制を確認する

PC-LCMはパソコンの管理が容易になる反面、セキュリティが委託先に依存してしまうことが心配されます。そのため、自社のセキュリティポリシーやセキュリティレベルを満たせる業者を選ぶことが重要です。

まとめ

パソコンの管理が煩雑化しつつある現代において、PC-LCMは業務の効率化、生産性の向上に必要不可欠となっていくことが予想されるでしょう。しかし、PC-LCMを社内で行うには、人材不足や管理の負担といった問題が立ちはだかり、実際は、対応できている企業が少ないのが現状です。そうした場合には、外注も検討してみてもよいでしょう。

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