レイアウト変更コストの抑制
フリーアドレスは組織変更に柔軟に対応できる点が魅力です。デスク配置に縛られず、迅速なレイアウト調整が可能になり、工事費用を削減できます。

ハイブリッドワーク(オフィスとテレワークの併用)の普及により、オフィスの座席運用を固定席からフリーアドレスへ移行する企業が増えてきています。メリットとデメリットを正しく理解し、特に見落とされがちなデメリットへの対策を講じることが、導入効果を最大化するうえで欠かせません。本記事では、フリーアドレスのメリット・デメリットを整理しながら、導入に成功した企業の事例や、成果を引き出すためのポイントをわかりやすくご紹介します。
フリーアドレスとは、従来の固定席に代わり、社員が自由に座席を選べるオフィスの座席制度を指します。この制度は、働き方や業務内容の多様化に対応するために導入されることが多く、効率的なオフィス空間の活用を目的としています。企業や働き方により効果には差がありますが、フリーアドレスは単なる座席の自由化だけでなく、より柔軟な働き方を促進します。
「コスト」「コミュニケーション」「管理」の3つの観点から、フリーアドレスと固定席を比較しました。
| 比較項目 | コスト | コミュニケーション | 管理 |
|---|---|---|---|
| フリー アドレス |
【条件により低〜中】
|
【開放的】
|
【複雑】
|
| 固定席 |
【中〜高】
|
【限定的】
|
【容易】
|

フリーアドレスをオフィスに導入することで得られる主なメリットを3つご紹介します。フリーアドレスのメリットを最大限に引き出すためには、その特徴や効果を正しく理解し、自社の働き方や組織課題に合わせて最適な運用ルールを整えることが欠かせません。
フリーアドレスは組織変更に柔軟に対応できる点が魅力です。デスク配置に縛られず、迅速なレイアウト調整が可能になり、工事費用を削減できます。
部署の壁を越えた偶発的な交流が生まれることで、チームワークが強化されます。情報の風通しが良くなり、新しいアイデアの創出にもつながります。
業務に合わせて場所を選ぶABWの考え方により、社員の生産性向上が期待できます。気分や作業内容に応じた最適な環境選択が可能です。

フリーアドレスをオフィスに導入する際に考慮されるデメリットを5つご紹介します。これらのデメリットは、フリーアドレスの導入において避けて通れない課題ですが、適切な管理と運用改善を通じて軽減に努めることができます。社員が快適に働ける環境づくりを目指し、会社として積極的に取り組むことが重要です。
固定席がないため、退社時にはデスク上を何もない状態にするクリーンデスクが求められます。荷物はパーソナルロッカーへ収納する必要があり、毎日の移動が負担に感じる社員も少なくありません。
フリーアドレス環境では、社員の所在把握が困難になるという課題があります。連絡や相談が必要な際に相手の所在が把握しづらく、業務のスムーズな進行を妨げることがあります。
フリーアドレスは自由な反面、座席予約や共有スペースの利用など、遵守すべきルールが多岐にわたります。特に固定電話の取り扱いは慎重な検討が必要で、「電話運用の仕組み」を整えないと、業務効率を下げる要因になりかねません。
固定席がないために、人気のある座席には多くの社員が集中し、希望する席を確保できないことが頻繁に起こる可能性があるため、導入時には十分な配慮が必要です。
荷物の持ち歩きにより、紛失や管理ミスのリスクがあります。この対策として、個人ロッカーの導入や入退室管理の徹底、社員へのセキュリティ教育の強化が不可欠です。
フリーアドレスの導入を行った企業の事例をご紹介します。これらの事例は、フリーアドレスのメリットを効果的に活かし、導入に伴う課題を適切に対応することで、職場環境や働き方の改善につながる可能性を秘めています。
A企業の当時のオフィスは閉鎖的で、他部署との交流が生まれにくく、新しい発想やビジネスのヒントが得られにくいという課題を抱えていました。そこで社員の声を丁寧に取り入れるため、3回にわたるワークショップを実施し、働き方とオフィスのあり方を多角的に議論しました。
そのプロセスの中で、部署間のコミュニケーション促進と柔軟な働き方を実現する手段としてフリーアドレスの導入を決断。同時に、導入時に想定されるデメリットや新たに生じる可能性のある課題についても、ワークショップを通して整理しました。
これらの課題に対しては、ゾーニングの工夫、チームが集まりやすいエリアの確保、集中作業に適したスペースの整備などの対策を検討し、最適なオフィスのあり方を形づくっていきました。結果として、社員が心地よく働け、自発的な交流が生まれるオフィス環境を共に実現することができました。


フリーアドレス導入に向けて社員同士が意見を交わすことで、取り組みの意義を共有しながら居心地の良いオフィスづくりができました。現場の声を反映させた取り組みは、「新しい働き方が始まる」という期待感を生み、オフィスづくりへの主体的な参加意識の向上につながったと考えられます。
集中作業用の静かなスペース、ミーティング用エリア、リラックスできる共有スペースなど、目的別に複数のタイプのワークスペースを設け、社員が業務内容に応じて自由に選べる環境を整えました。
個人で保管できる書類の量が限られるため、自ずとペーパーレス化を推進できるというメリットがあります。
社員は業務内容や気分に合わせて働く場所を選べるようになり、柔軟な働き方を支える環境が整いました。導入前の話し合いを通じて生まれた「一緒にオフィスをつくる」という一体感も、社員の前向きな姿勢につながったようです。こうした取り組みによって、働き方に対する意識が広がり、今後のさらなる活性化が期待されます。
ウチダエスコ株式会社では、オフィスリニューアルの中心コンセプトとして「コミュニケーションの活性化」を掲げ、フリーアドレスを導入しました。コミュニケーションを重視した運用スタイルが、社員の働きやすい環境づくりにつながりました。
※これらの効果は当社での取り組みに基づくものであり、導入される企業の環境や運用の仕方によって、得られる成果は異なる場合があります。


フリーアドレスとグループアドレスを組み合わせた執務エリアでは、プロジェクトやチームごとに柔軟に働ける環境が整い、共同作業のしやすさやチーム間の連携強化につながっているようです。こうした柔軟性のあるオフィスは、組織の変化にも対応しやすいというメリットがあります。社員の業務スタイルに応じた環境選択が可能になることで、意欲の向上も期待できます。
4人テーブルの向きを工夫して配置することで、偶発的な出会いが生まれやすい環境づくりを目指しました。すべての席を角席化することで、上司・部下だけでなく同僚同士も声をかけやすく、コミュニケーションが活発になるように工夫しています。
会議後のフォローアップや短時間の打ち合わせに最適な「立ちミーティングエリア」で業務を加速させる一方、周囲を気にせず個人作業に没頭できる「集中スペース」も完備し、対話と集中のメリハリをつけた生産性の高いワークスタイルを実現しています。


社員が自然に他部署のメンバーと交流できる環境を整えたことで、社員の働きやすさやフリーアドレスのメリットを活かす工夫が随所に見られました。情報共有やアイデアのやり取りが活発になり、チームワークの強化や業務の効率の向上にもつながっていると感じています。
導入効果を最大限に引き出すには、事前の準備と適切な運用が重要です。ここでは、リスクを抑えながら、社員の働きやすさと職場の生産性向上につなげるために考慮すべき4つのポイントをご紹介します。
フリーアドレスの導入を成功させる鍵は、明確な目的設定と具体的な運用ルールの策定です。座席利用や共有スペースのルールをマニュアル化し、社内研修で浸透させることで導入後の混乱を防げます。当社では、部署ごとにエリアを設定して席を選ぶ「グループアドレス」を採用し、日々の座席選びがスムーズに行えるよう工夫しました。段階的な移行ステップを整えることが、フリーアドレスのスムーズな定着と円滑な運用につながります。
代表電話のアウトソーシング・固定電話をスマートフォンに転送できる仕組みや、パソコンで通話を受けられる環境を多くの選択肢のなかから自社に最適なシステム整備が必要になります。当社でも、フリーアドレス化に伴い、電話運用を見直して実装しました。導入の結果、代表電話を取り次ぐ側の負担が減り、場所を問わないスムーズな連携を実感しています。
フリーアドレスを長期的に成功させるには、導入後の定期的な見直しが欠かせません。社員のフィードバックや運用データを基にルールや環境を継続的に改善することで、制度の定着と満足度向上につながります。
サポートツールの導入は、社員の負担軽減と運用管理の効率化に役立ちます。大きめのロッカーを設置したり、ロッカーから席まで荷物を運べるモバイルバッグを用意することで、快適に働ける職場環境づくりを支援できます。


その他、オフィス用品はカタログをご覧ください。
フリーアドレスは、働き方改革やオフィス最適化を進める企業にとって適切に運用されれば効果が期待できます。メリットとデメリットを踏まえたうえで、ハイブリッド型(固定席とフリーアドレスの併用)やグループアドレスなどを状況に応じて柔軟に取り入れることで、働きやすい環境づくりや生産性の向上につなげることができます。柔軟な働き方が求められる今、フリーアドレス導入は重要な選択肢です。
ぜひ本記事を参考に、貴社のオフィス環境や働き方改革の一助としてフリーアドレス導入を検討してみてください。