企業では、事業の拡大や縮小、業態の変化や従業員数の増減など、さまざまな要因によってオフィス移転が必要となる場合があります。事業に可能な限り影響を与えず、スムーズな移転を行うためには事前に全体の流れや手続きを把握しておくことが大切です。今回は、オフィス移転の際にやることと、実際の成功事例をご紹介します。
オフィス移転の流れを確認
※施工内容・規模面積によって準備期間は異なります。
はじめに、オフィス移転の全体の流れを時間軸で確認していきましょう。オフィス移転を考える場合は、最初におおまかな時期を決めます。個人の引っ越しとは異なり、多種多様な準備が必要となるため、少なくとも10ヵ月弱を目安に進めるのがおすすめです。
オフィス移転の8~7ヵ月前
計画序盤で行うのは、以下のような項目です。
- 目的と移転計画の明確化
- そもそも何のために移転するのか、移転後のオフィスをどうしたいのかを明確化し、計画発案とともに社内に告知します。
- 移転プロジェクトチームの結成
- プロジェクトマネージャーを任命し、移転プロジェクトのスケジュールとおおまかな予算の策定を行うとともに、移転に関連するスタッフの役割と責任の割り当てを決めていきます。
- 新しいオフィスの選定
- アクセスや交通、周辺環境などを考慮し、事業に適した場所を選定します。各スペースのサイズを決め、レイアウト計画を立てます。物件が確定したあとは、賃貸契約条件を定めて契約交渉を進めます。
- 予算の策定
- 移転コストの詳細、かつ具体的な予算の作成と調整を行います。
オフィス移転の6~3ヵ月前
- レイアウトと設備の計画
- オフィスレイアウトの設計、必要な家具、設備、テクノロジー(IT関係)の調達を行います。
- 移転日程の決定リスト
- 各タスクの期日や担当者の割り当てなど、移転の日程を決定します。
オフィス移転の2~1ヵ月前までに準備すること
- ITと通信の移転
- 業務に必要なインフラストラクチャーの設計とセットアップを実施します。電話やインターネット、ネットワークの移行も忘れずに進めましょう。
- プレオフィス移転
- ファイリングシステムと文書の整理、不要なアセットの廃棄または売却を行い、移動可能な書類や物品は事前に移転を済ませます。
- 各所への連絡
- 社内での移行準備の進行具合を確認します。顧客やサプライヤーへの連絡を文書やメールで行います。
1ヵ月以内~オフィス移転当日
- 移転日の準備
- レイアウトや設備の設置とテスト、社内外の作業者への指示確認を行います。
- 移転実施
- 物品の梱包と運搬、インフラストラクチャーの切り替え、新しいオフィススペースでの設備設置を行います。
- 移転後の評価
- 業務始動後に、移転プロジェクトの評価と改善点の特定を行い、今後の参考情報としてまとめます。
オフィス移転で必要となる手続き
オフィス移転で必要となる手続きと、関係機関は以下のとおりです。
国税庁
・異動届出書
提出先等:異動前の納税地等の所轄税務署
・給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
提出先等:移転前における事務所等の所在地の所轄税務署
提出期限:開設、移転又は廃止の事実があった日から1か月以内
厚生労働省
・労働保険名称、所在地等変更届
提出期限:変更のあった日の翌日から起算して10日以内
提出先等:
一元適用事業→事業所の所在地を管轄する労働基準監督署へ提出
二元適用事業→雇用保険は事業所の所在地を管轄するハローワーク
労災保険は→事業所の所在地を管轄する労働基準監督署へ提出
・雇用保険事業主事業所各種変更届
提出期限:所在地等変更のあった日の翌日から起算して10日以内
手続き等:事業所の所在地を管轄するハローワーク
日本年金機構
・健康保険・厚生年金保険適用事業所名称/所在地変更(訂正)届
提出期限:事実発生から5日以内
提出方法等:電子申請、郵送、窓口持参
法務局国税庁
・本店登記申請書
管轄省庁等:法務局
提出期限:移転の日から2週間以内
日本郵便株式会社
・転居・転送サービス
提出・窓口等:インターネット、ポスト投函、窓口
その他 各状況にあわせて必要となるもの
・自動車保管場所証明申請書(車庫証明書)
・防火対象物使用開始届出書
・防火対象物工事等計画届出書
・防火・防災管理者選任(解任)届出書
・消防計画作成(変更)届出書
オフィス移転のポイント
オフィス移転の主なポイントとしては、以下のようなものがあげられます。
担当・責任所在の明確化
オフィス移転では、思いがけないアクシデントの発生も予測されます。どの時点で何が起きても速やかに対処できるように、すべての動きについて担当者や担当部署を設定し、責任の所在を明らかにしておく必要があります。
余裕のあるスケジュール
オフィスの規模によっては、先に示したスケジュールよりもさらに時間がかかる場合もあります。トラブルを回避するためにも、余裕を持った移転計画を立てることが大切です。
外部サービスの活用
企業活動を考えるうえでは、日々の業務を可能な限り継続したままでオフィス移転を行うのが理想的です。適宜外部サービスを活用することで、社内負担の軽減を図りながら移転を実施できます。
移転にともなう新たなオフィスづくりの事例
ここでは、オフィス移転の事例をご紹介します。
日清医療食品株式会社 神戸支店 様
『食』を通じた医療福祉サービスを展開している日清医療食品株式会社様では、リニューアルに向けて
”社員のコミュニケーションを活性化し、生産性を上げる”という目的のため「社員がくつろぎ、集える、コミュニケーションの取れる空間」と「明るい気持ちで執務室に入れるオフィス」を新オフィスのレイアウトデザインに組み込みました。
・アースカラーを基調とした落ち着きのある明るいオフィス
・オフィス機能の役割分担を明確にし、どこからでもアクセスしやすいデザイン
・執務エリアの中央に象徴的なカウンターを設置し、自然と人が集まり、コミュニケーションが発生する動線
外勤からオフィスへ戻った社員の皆様が、おちつくオフィスデザインが実現することができました。
横浜冷凍株式会社 様
創業1948年、横浜で冷蔵倉庫事業と食品販売事業を通じて日本の食生活を支えている横浜冷凍株式会社様では移転に伴い、移転プロジェクトを発足。新オフィスへの要望としてプロジェクトメンバーの皆様からは、「コミュニケーションエリア・エントランス・会議室エリアなど、社員の共有スペースを充実させたい!!」という気持ちが強くありました。
「Team Building」をコンセプトに執務エリアは”オフィスに行きたくなる”ような空間へ、またコミュニケーションエリア通称”ヨコレイ広場”を設計、打ち合わせや休憩以外にも、スポンサーチームの応援や社内勉強会など、会社が一丸となるイベントをする場所を展開していく空間をつくりあげました。
また、新型コロナウイルス感染症の拡大により対面でのコミュニケーションが制限されたこの期間では、ICT機器の整備もあわせてウチダエスコと取り組みをすすめていきオンラインミーティングボード『MAXHUB』の導入もすすめていきました。
綿密な計画作りと着実な進行でオフィス移転を成功させよう
オフィス移転は、企業にとって大きな節目となる出来事です。移転後に、「どのような事業展開をしたいのか」「オフィス移転によってどのようなプラス効果を得たいのか」を明確にすることでスムーズな実施と移転成功の可否が決まります。満足度の高いオフィス移転とするためにも、移転する目的を定め、それに向けた綿密な計画を早めに策定していくことが必要です。
事例でご覧いただいたように、ウチダエスコでは自社の希望に沿ったオフィス移転が実現できるサポートを提供いたします。オフィス移転をご検討の際には、ぜひご活用ください。