学校法人桐朋学園 男子部門 様
ICT教育(教育現場のICT化)の導入事例
2021.02.19

校舎の全面建て替えに伴い、教師の手作りだったネットワーク環境を一新。 将来の活用を見据えた余力のある設計とセキュリティーの強化で、 新しいことにチャレンジできる教育環境をサポート

自由な校風と本質的な学びを大切にする桐朋学園様。東京都国立市にある桐朋学園 男子部門では、創立75周年の記念事業として小・中・高の校舎建て替え事業を行い、2016年に完了しました。ウチダエスコは2005年からネットワーク構築のサポートを担当。校舎建て替え事業でも校内ネットワークの設計・構築やICT機器導入全般に携わりました。
新校舎のネットワーク構築のねらいや現在の活用方法などについて、情報環境委員会の委員長である柿澤壽先生(中学校・高等学校 教諭)と小中高全体のネットワーク管理者である小野崇先生(小学校 教諭)にお話を伺いました。

(2020年10月取材)

教師が手作りで構築していたネットワーク
セキュリティー強化のために、サーバーとファイヤーウォールの整備から着手

ウチダエスコが桐朋学園 男子部門のサポートを開始した2005年当時の状況をお聞きしました。

「本校は自主性を重んじる校風です。それは生徒だけでなく、われわれ教師に対しても同じです。例えば、インターネットに関しても、活用したい教師が自分で機器を購入したり、電気系に詳しい職員が回線を敷き、屋上にスイッチングハブを設置してそこから各教室に配線しているようなところもありました」(柿澤先生)

「台数も回線も増え、インターネットの使用状況が把握できない状況に陥っており、セキュリティー面での不安を感じていたところに、校舎建て替え計画が持ち上がりました。ネットワーク環境全体を見直すにはいいタイミングだと思いつつも、規模が大きくなりすぎて何から手を付けていいのかわからず困っていました」(小野先生)

情報環境委員会の委員長である柿澤壽先生(中学校・高等学校 教諭)
情報環境委員会の委員長である柿澤壽先生(中学校・高等学校 教諭)

ウチダエスコは桐朋学園 男子部門のネットワーク環境における課題を整理し、優先順位を付けた対応策を提示。そして、回線の無駄を省き、コストとセキュリティーを考慮した整備を実施することになりました。

「ウチダエスコには、手始めにネットワークの基幹部分となるサーバーとファイヤーウォールの整備を依頼しました。当初はネット環境の入り口にあたる部分を頼んだだけでしたが、私たちが手作りしてきたネットワークのどこかに不調が発生した時も、いつでも相談に乗ってくれました。不調の原因がなかなかわからず、暑い夏の日に汗だくになりながら、屋上に設置されていたスイッチングハブを一緒に確認したこともありました。それまで保守をお願いしていた会社とは全く異なる親身さがウチダエスコにはありました」(小野先生)

将来何が必要になるかを視野に入れ、ウチダエスコと二人三脚で、仕様を決定

新校舎建て替えは2010年に概要が決定。その際、ネットワークやICT機器についても「活用してどのような授業をしたいか」だけでなく、「将来的にどのような活用方法が想定されるか」「生徒はどのような使い方をすることになるだろうか」といったことについても一緒に議論を重ねました。 建て替えは2012年に着工。旧校舎を使いながらの建て替えで、2013年にサーバールームがある事務棟と教科教室棟が完成。2016年まで4年かけ、小学校から高校までの全校舎が一新されました。

「ウチダエスコには、ネットワーク構築をすべてお願いしました。私たちがめざす教育環境を実現するためには、私たちの考え方を熟知しているウチダエスコに全面的に任せたいと考え、建築会社との会議にも参加してもらいました」(小野先生)

セキュリティーについては特に厳重にするために、校務などの業務を行うためのネットワークと、授業で使用するためのネットワークを完全に分け、前者のネットワークにアクセスできるPCを限定しました。

「成績処理などに使用するPCと授業で使用するPCを分ける必要があるため、実務的にはかなり面倒です。しかし同じPCを使っていると、例えば、成績などの個人情報が誤って授業中に生徒の目に触れるといった事故が起きる可能性があります。分離したのは正解だったと思います。また、特定のPCしか校務用のネットワークにアクセスできないようにしたので、不正アクセスを防ぐこともできます。この仕組みは、ウチダエスコからの提案で導入したのですが、提案していただいてよかったです」(小野先生)

小中高全体のネットワーク管理者である小野崇先生(小学校 教諭)
小中高全体のネットワーク管理者である小野崇先生(小学校 教諭)

コロナ禍で急きょ必要となったオンライン授業もスムーズにスタート
活用したことで見えてきた新たな課題への対応を
5年後・10年後を見据えて考えていきたい

桐朋学園は本物に触れる教育を大切にしています。例えば理科なら、実験をすることや標本を見たり触れたりすることなど、五感を使った体験を重視していました。

「これまではバーチャルであるICTの導入に消極的な教師が多かったのですが、コロナ禍でそんなことを言っていられなくなりました。生活リズムが崩れがちな生徒たちに、9時には起きてもらおうということで、授業をリアルタイム配信しました」(柿澤先生)

例年6月に開催される文化祭(桐朋祭)は、2020年度は9月に規模を縮小しての開催となりました。その際、生徒の発案でリアルタイム配信も行うことになったそうです。

「オンライン授業にしても、文化祭の配信にしても、はじめての経験です。このような新しいことを実施するにあたっては、その都度、ウチダエスコに設定変更が可能かなどを相談し、助けてもらいました。設計当時、コロナのような事態は想定していませんでしたが、将来の使われ方を想定した設備設計をしたからこそ、緊急事態にもスムーズに対応できたのだと思っています」(小野先生)

柿澤先生によると「この半年でICT活用に対する先生方の意識も大きく変わった」とのこと。「活用に消極的だった先生が、他の先生に触発されて挑戦するようになりました。その結果、新たな課題も見えてきたので、そろそろ次の手を打つときだと思っています」と語ってくださいました。

最後にウチダエスコに対してどのように感じているかをお聞きしました。

「ウチダエスコは、私たちのやりたいことに真摯に耳を傾け、実現するのに必要な仕組みを提案してくれます。過度にハイスペックでもなく、かといってすぐに陳腐化するようなスペックでもない。マルチベンダーである強みを生かして、メーカーにとらわれず最善の提案をしてくれます。同規模の学校への導入事例をたくさん持っているので、そのような情報も参考になります。ウチダエスコの皆さんは、さまざまな課題の解決方法を私たちと一緒に考えてくれる仲間のような存在だと思っています」(柿澤先生)

設計・施工コンセプト

桐朋学園 男子部門様のご要望

ネットワーク構築については、建て替え開始前に全体構想を決め、4年間かけて新しい校舎に整備していく計画としたい。 建て替えの工期を長くしたのは、工事期間中も通常の学校生活を維持したいと考えたためです。 仮設校舎をグラウンドなどに建てる方法を採ると、体育の授業やクラブ活動に支障が生じたり、 集会室などの施設が使用できない期間が生じるため、校舎を一つずつ順番に建てていく方法を採用しました。

ワンストップのサポート体制

お客さまについてCLIENT

学校法人桐朋学園 男子部門様

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ホームページ https://www.toho.ed.jp/(中学校・高等学校) https://tohogakuen-e.ed.jp/(小学校)
所在地 東京都国立市中3-1-10
学校の紹介 1941年、軍人の子弟子女の教育を目的として創設されたのが始まり。戦後、東京文理科大学(筑波大学の前身)の学長で、教育基本法の原案作成者の1人であった務台理作氏を校長に迎え、「自主・敬愛・勤労」を教育目標に掲げた。今回取材した国立にある男子部のキャンパスには、桐朋学園小学校(共学)、桐朋中学校(男子)、桐朋高等学校(男子)がある。広大な敷地内には武蔵野の面影をとどめる雑木林や、反射式望遠鏡が設置された天文台、太陽観測所、プラネタリウムなども整っている。最新設備を活用した創造的な学習に取り組むことで生涯にわたって役立つ「豊かな教養と高い知性」を身に付ける教育を実践している。

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