オフィスのプリンター運用において、印刷コストの内訳が見えないと、削減の打ち手が決まりません。この記事では、オフィスのプリンターにかかるランニングコストの全内訳を徹底的に分解し、ハードウェアの選定から日々の運用設定、契約形態の見直しまで、今すぐ実践できる具体的なコスト削減術を網羅的に解説します。さらに、マルチベンダー対応の強みを活かした、最適な運用体制の構築方法までご紹介します。

まずは現状把握から。プリンターのランニングコストの全内訳
コスト削減の第一歩は、現状の可視化です。請求書の合計金額を見るだけでは、どこに無駄があるのか判断できません。オフィスの印刷環境には、主に4つのコスト要因が絡み合っています。
コストの中核を占める消耗品費とカウンター料金
印刷コストの中でもっとも大きな割合を占めるのが、インクやトナー、感光体ユニットなどの消耗品費、およびそれに関連する保守費用です。
まず、自社の契約が「カウンター保守契約」なのか「キット保守契約」なのか、あるいは「スポット保守」なのかを把握しているでしょうか。
多くのオフィス用複合機で採用されている「カウンター保守契約」では、印刷1枚ごとに課金されます。この料金にはトナー代や修理費が含まれているのが一般的です。
カウンター料金は、契約条件(機種、最低基本料金、月間枚数、保守範囲、地域)で大きく変わります。目安として、モノクロ約1~3円/枚、フルカラー約10~20円/枚がよく見られます(契約条件で変動します)。
もし、御社のカウンター料金がこの目安よりも大幅に高い場合、契約内容の見直しだけでコストを圧縮できる可能性があります。逆に、極端に安い(モノクロ1円以下など)場合は、本体のリース料金が高額に設定されていたり、トナー代が含まれていなかったりするケースもあるため、トータルコストでの判断が必要です。
また、フルカラー単価は契約によっては10倍前後の差になることもあります。社内でカラー印刷のコスト感を共有できていないと、無意識のカラー出力が増えやすい点に注意が必要です。
契約形態による固定費の違い(リース・レンタル・購入)
毎月支払う「機器の利用料」も大きな固定費です。導入形態には主に3つのパターンがあり、それぞれコストの性質が異なります。
| 比較項目 | リース契約 | レンタル契約 | 一括購入 |
|---|---|---|---|
| 特徴・期間 |
3〜7年(5年が主流) 多くの企業で採用。初期費用を抑えて月額を経費化できる。 |
1日〜数ヶ月単位 必要な期間だけ借りる柔軟性が最大の魅力。 |
制限なし(長期利用) 金利手数料がかからないため、5年以上の利用でトータルコストが最安。 |
| 中途解約 |
原則不可(ファイナンスリース) 解約時は残額の違約金(一括支払い)が発生するのが一般的。 |
いつでも解約可能 中途解約に伴う大きな違約金リスクが低い。 |
― 所有物のため、売却や廃棄は自由。 |
| コスト面 | 月額費用を全額経費計上できる。 | 月額料金はリースより高めに設定されている。審査不要なケースも多い。 |
初期投資が必要。 資産計上や償却資産申告などの実務(税務処理)が必要。 |
| 最適な利用シーン | 長期間、拠点を維持することが確定している場合。 | 移転・撤退の可能性がある拠点、イベント、短期プロジェクト、仮設オフィス。 | 資金に余裕があり、同じ機器を5年以上長く使う場合。 |
意外と見落とす電気代と用紙代
昨今のエネルギー価格高騰により、プリンターの電気代も無視できないコストになっています。特にレーザープリンターや複合機は、トナーを熱で定着させる仕組み上、印刷時に大きな電力を消費します。
消費電力は機種差が大きいため、ここでは傾向だけ押さえます。一般に、熱で定着するレーザー方式は印刷時の電力が大きく、インクジェットは比較的小さい傾向があります。比較時は、印刷時の瞬間値だけでなく、スリープ復帰頻度やTEC値(標準消費電力量)も併せて確認してください。
機種や世代によっては、TEC値ベースで数倍以上の差が出ることもあります。また、待機電力(スリープ時)のTEC値も重要です。実際に、TEC値の高い旧型複合機から省エネ性能の高い最新機へ入れ替えると、1台あたり年間で数千円~1万円前後の電気代差が生じた事例も報告されています。台数が多い環境では、この差が年単位で大きなコストインパクトになります。
用紙代については、単価は低いものの、消費量が膨大になればコストは積み上がります。また、用紙の保管スペースにかかる「場所代」も、都心のオフィスでは無視できないコストといえるでしょう。
担当者を疲弊させる管理工数
金銭的な出費以上に経営視点で問題なのが、社員のリソースを奪う「見えないコスト」です。
● 消耗品の在庫管理・発注:「トナーが切れた」という連絡を受けて型番を調べ、発注し、届いた重い箱を棚にしまう作業。
● トラブル対応:紙詰まりやエラー表示が出るたびに業務を中断して対応する時間。
● 請求処理:メーカーやベンダーごとにバラバラに届く請求書の処理業務。
これらは総務や情報システム担当者の本来の業務時間を奪っています。もし時給換算で数千円の社員が、月に何時間もプリンターのお守りをしているとしたら、それは非常に高価なランニングコストを支払っていることと同義です。
今すぐ実践できる!コスト削減の具体的アプローチ
現状のコスト構造が把握できたら、次は具体的な削減アクションに移ります。ここでは「ハードウェア」「運用ルール」「契約・調達」の3つの視点からアプローチします。

「適材適所」の機種選定(レーザーとインクジェットの使い分け)
これまでは「オフィスといえばレーザー複合機」が一択の時代でした。しかし、技術の進化により、ビジネスインクジェットプリンターの性能が飛躍的に向上しています。
【レーザープリンターの強み】
● 高速大量印刷:毎分20~50枚以上のスピードで、会議資料などを一気に印刷できます。
● 耐久性と保存性:文字がくっきりとして水に強く、公文書や契約書の長期保存に適しています。
● コスト特性:トナー1本あたりの印刷可能枚数が多く、月間数千枚~数万枚刷る環境では効率がよいです。
【インクジェットプリンターの強み】
● 圧倒的な低コスト:エコタンクなどのモデルでは、A4モノクロ1枚あたり約0.4~0.6円と、レーザー複合機のカウンター料金(1~3円)より低コストです。
● ※印刷コストは機種(タンク式/カートリッジ式)や印刷条件で変動します。
● 省エネ:前述のとおり消費電力が低く、熱を持たないためオフィスの空調負荷も下げられます。
● 色の再現性:写真やデザイン画など、グラデーションの表現に優れています。
比較図
| レーザープリンターの強み | インクジェットの強み | |
| 主な用途 | 高速大量印刷(20〜50枚/分〜) | 低コストな日常印刷 |
| 品質・特性 | 文字がくっきり、水に強い(公文書向き) | 写真やグラデーションの再現性が高い |
| コスト構造 | 大量印刷時の効率性が高い | 圧倒的な低単価(A4 0.4〜0.6円〜) |
| 環境性能 | 圧倒的な低単価(A4 0.4〜0.6円〜) | 省電力・低発熱(空調負荷を軽減) |
【削減のポイント:ハイブリッド運用】すべての印刷を大型レーザー複合機1台に集約するのではなく、用途に合わせて機器を配置する「適材適所」がコスト削減の鍵です。
例えば、大量の会議資料はセンターマシンの複合機で行い、数枚程度の日常的な帳票出力やデスクサイドでの印刷は、ランニングコストの安いインクジェットプリンターで行う。あるいは、テレワーク環境や小規模拠点には小型のインクジェットを配布する。このように機器を使い分けることで、トータルコストと電気代を大幅に抑制できます。
| 運用シーン | 推奨される機器 | 運用のポイント |
| センターマシン | 大型レーザー複合機 | 大量の会議資料、長期保存が必要な契約書、公文書の出力に。 |
| デスクサイド・事務室 | ビジネスインクジェット | 数枚程度の日常的な帳票、クイックな印刷、ランニングコスト抑制に。 |
| テレワーク・小規模拠点 | 小型インクジェット | 導入コストを抑えつつ、必要な出力を確保。省スペースにも寄与。 |
運用の見直し:印刷設定とルールの徹底
機器を入れ替えなくても、設定を見直すだけで今日からコストは下がります。
● デフォルト設定の変更:プリンタードライバーの初期設定を「モノクロ」「両面印刷」「2in1(2ページを1枚に集約)」にしておきます。これにより、無意識のカラー印刷や紙の浪費を強制的に防げます。
● エコモード・トナーセーブ機能:多くの機種に搭載されている「節約モード」を活用します。社内資料であれば、インク濃度を下げたドラフト印刷でも十分な視認性が確保できるケースがほとんどです。節約モードでトナー消費を抑えられる場合があります。読みやすさを損なわない範囲で、社内資料はドラフト、対外資料は通常品質、など使い分けるのが現実的です。
● プレビュー確認の習慣化:ミスプリントは最大の無駄です。印刷ボタンを押す前に必ずプレビュー画面を確認する習慣をつける、あるいはミスプリント検知機能のある機種を導入することで、無駄紙を減らせます。
● 「印刷しない」というルール:ペーパーレス化の推進です。会議資料をプロジェクター投影やタブレット共有にするだけで、印刷コストはゼロになります。
契約と調達の見直し:自社に最適なプランの選択
印刷ボリュームに応じた契約の見直しも効果的です。
● 大量印刷時のアウトソーシング:
チラシやパンフレットのような大量印刷の場合、社内プリンターよりもネット印刷通販(オンデマンド/オフセット)に外注したほうがコストを抑えられる分岐点は、一般的に500~1,000部あたりとされています。さらに、製本やホチキス留めの手間も削減できるため、人件費を含めると大幅なコストダウンになります。
● 保守契約の最適化:
月間の印刷枚数が少ない(例えば500枚以下)の小規模オフィスの場合、カウンター保守契約の「最低基本料金」が割高になっている可能性があります。この場合、トナーを購入することで保守が受けられる「キット保守」や、必要な時だけ修理を依頼する「スポット保守」に切り替えるほうが経済的な場合があります。逆に、大量に印刷するならカウンター契約のほうが安心です。
● リースの見直し:
リース契約満了のタイミングは最大のチャンスです。再リースで既存機を安く使い続けるか、最新の省エネ機に入れ替えて電気代と保守費を下げるか。また、長期的な事業計画が見えない場合は、縛りのないレンタル契約への切り替えも検討すべきです。
最適な印刷環境の構築はプロへの相談が近道
ここまでさまざまなコスト削減術をご紹介しましたが、これらをすべて自社単独で実行しようとすると、新たな課題に直面します。
なぜ自社でのコスト管理・最適化は難しいのか?
「どのメーカーのどの機種が、自社の業務フローに最適なのか分からない」「インクジェットとレーザーを併用したいが、管理が煩雑になる」「リース契約と保守契約が複雑で、どこが損益分岐点か計算できない」
こうした専門的な判断には、多くの知識と時間が必要です。また、メーカー系の販社に相談しても、当然ながらそのメーカーの製品しか提案されません。「A社の複合機を使っているが、実はB社のインクジェットのほうが今回の用途には合っている」という場合でも、選択肢が提示されないのです。これが、コスト削減を頭打ちにさせる根本的な原因です。
ウチダエスコの強み:マルチベンダー対応による「真の最適解」
ここで役立つのが、特定のメーカーに縛られない「マルチベンダー・インテグレーター」としてのウチダエスコの存在です。
ウチダエスコは、プリンターや複合機の導入・運用において、国内主要メーカー製品を幅広く取り扱うマルチベンダー体制を持っています。メーカーに縛られず、用途・印刷量に合った機種や構成を提案できるのが強みです。
導入後の「運用・保守」も窓口一本化で効率化
機器を入れた後の運用管理も、ウチダエスコなら劇的に効率化できます。それが「ライフサイクルマネジメント(LCM)」サービスです。
通常、マルチベンダーで機器を導入すると、「複合機が壊れたらA社へ、プリンターの調子が悪い時はB社へ」と連絡先がバラバラになり、管理工数が増えてしまいます。
しかしウチダエスコは、複数メーカー機が混在してもヘルプデスクサービスにより問い合わせ窓口の一本化を支援し、担当者の運用負荷軽減につなげます
まとめ

オフィスのプリンターランニングコストは、トナー代やリース料といった直接的な費用だけでなく、保守料や電気代、そして管理工数など、多岐にわたる要素で構成されています。これらを正確に把握し、「ハードウェア(適材適所の機種選定)」と「運用(設定・ルールの徹底)」の両面から見直すことで、印刷コストは確実に、そして大幅に削減できます。
しかし、これらの最適化をすべて自社で行うには、専門知識と多くの工数が必要です。「自社にとって最適な機種の組み合わせが分からない」「メーカーごとに保守契約がバラバラで管理が煩雑だ」といったお悩みは、プロフェッショナルに任せるのが確実かつ最短の解決策です。
ウチダエスコは、特定メーカーに依存しないマルチベンダー対応で、貴社の印刷ボリュームや用途、業務スタイルに最適なプリンター環境をカスタマイズしてご提案します。導入後の保守・運用サポート(LCM)までワンストップで対応し、窓口を一本化することで、担当者様の負担軽減と継続的なコスト削減をお約束します。
オフィスの印刷環境の見直しや、現状のコストが適正かどうかの診断からでも、ぜひウチダエスコへお気軽にご相談ください。「コスト削減」と「快適なオフィス環境」の両立を、私たちが全力でサポートいたします。
