
介護報酬改定というと、「12月に改定率が決まり、4月1日に制度がスタートする」という流れをイメージされる方が多いのではないでしょうか。
しかし、介護ソフトを提供するシステムベンダーや、介護保険システムを利用する介護事業所にとって本当に重要なのは、制度が決まる日ではなく、「システム改修に必要な資料がいつ公開されるか」です。
実際には、改定率や告示だけではシステム改修を進めることはできません。
- 介護報酬の算定構造
- サービスコード表
- 介護保険事務処理システム変更に係る参考資料
- 留意事項通知
- 解釈通知
- Q&A
これらが揃って初めて、正確なシステム開発・テストが可能になります。令和6年度改定でも、これらの資料は2月から3月にかけて段階的に公開されました。
今回は、令和6年度介護報酬改定を振り返りながら、令和9年度介護報酬改定ではいつ頃から本格的なシステム改修が始まるのかを予想します。
一般的に知られている介護報酬改定のスケジュール
介護報酬改定は、おおむね次の流れで進みます。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 4月~11月 | 介護給付費分科会でサービス別の議論 |
| 12月 | 改定率決定・審議報告 |
| 2月 | 告示・各種通知 |
| 4月 | 制度施行 |
このスケジュールだけを見ると、「1月にはシステム開発が始められる」と思われるかもしれません。しかし、実際はそうではありません。
システムベンダーが本当に待っている資料

システムベンダーが開発を開始するためには、制度概要だけでは足りません。特に重要なのが次の資料です。
- 介護報酬の算定構造のイメージ
- 介護給付費単位数等サービスコード表
- 介護保険事務処理システム変更に係る参考資料
- 留意事項通知
- 解釈通知
- Q&A
これらが揃うことで、
- 画面設計
- 実績記録票
- 給付費明細書
- 上限額管理
- 国保連請求データ
これらが公開されることで、ようやく画面設計や請求ロジック、国保連請求データ、利用票・提供票などの改修を正確に進めることができます。
令和6年度改定では実際にどうだったのか
令和6年度介護報酬改定では、システム開発に必要な資料が次のような流れで公開されました。
| 時期 | 公開資料 | システムベンダーの対応 |
|---|---|---|
| 令和5年12月 | 改定率・審議報告 | 影響調査・概要設計 |
| 令和6年1月 | 告示・通知 | 基本設計 |
| 2月6日 | 介護報酬の算定構造のイメージ(案) | 画面・帳票設計開始 |
| 3月15日 | ・留意事項通知 ・解釈通知 ・Q&A Vol.1 | 詳細仕様確認 |
| 3月18日 | ・介護保険事務処理システム変更に係る参考資料(その4) ・サービスコード表 | 本格開発・請求テスト |
| 3月19日 | Q&A Vol.2 | プログラム修正 |
| 3月29日 | Q&A Vol.3 | 最終調整 |
| 4月18日・4月30日 | Q&A Vol.4・Vol.5 | 保守・追加改修 |
この流れを見ると、本格的な開発期間は実質2~3週間しかなかったことが分かります。
なぜ3月が一番忙しいのか
介護事業所からすると、「4月1日までに間に合えばよいのでは?」と思われるかもしれません。
しかし、実際には3月末までに完了していなければならない業務があります。
居宅介護支援事業所では4月分の利用票を3月中に交付する居宅介護支援事業所では、4月サービス分のサービス利用票・別表を3月中に利用者へ交付する必要があります。
つまり、
- 新しいサービスコード
- 新しい加算
- 新しい算定要件
- 利用票への反映
これらがシステムへ反映されていなければ、利用票を作成することができません。そのためシステムベンダーは、
- サービスコード表
- 解釈通知
- 留意事項通知
- Q&A
を確認しながら短期間で開発・テスト・リリースを行っています。
令和9年度も同じ流れになる可能性が高い
現時点では詳細日程は公表されていませんが、令和6年度と同様の流れになるとすれば、システム改修は次のようなスケジュールになると考えられます。
| 時期 | 予想される内容 |
|---|---|
| 令和8年12月 | 改定率決定 |
| 令和9年1月 | 告示・審議報告 |
| 令和9年2月上旬 | 算定構造のイメージ公表 |
| 令和9年3月中旬 | サービスコード表・介護保険事務処理システム変更に係る参考資料公表 |
| 令和9年3月中旬~下旬 | 留意事項通知・解釈通知・Q&A公開 |
| 令和9年3月下旬 | ベンダー各社がシステム更新を提供 |
| 令和9年4月1日 | 制度施行 |
まとめ
介護報酬改定で重要なのは、「改定率がいつ決まるか」だけではありません。介護事業所が円滑に新制度へ対応するためには、システム改修に必要な資料がいつ公開されるかを把握しておくことが重要です。令和6年度改定では、2月の「介護報酬の算定構造のイメージ」、3月の「介護保険事務処理システム変更に係る参考資料」や「サービスコード表」、さらに「留意事項通知」「解釈通知」「Q&A」が短期間で公開され、それを受けてベンダー各社がシステム改修を行いました。令和9年度介護報酬改定でも同様の流れになる可能性が高く、介護事業所・システムベンダー双方にとって、3月中旬から月末が最も重要な対応期間になると考えられます。
令和9年度介護報酬改定の詳細はまだ公表されていませんが、令和6年度改定の実績を見ると、システム開発やテストに必要な資料は施行直前まで段階的に公開される可能性が高いと考えられます。介護事業所やシステム担当者の皆さまは、制度改定の内容だけでなく、システム対応のスケジュールについても早めに情報収集を進めておくことが重要です。
また、報酬改定のたびに発生するシステム変更への対応は、業務負担や運用リスクの軽減という観点からも重要なテーマです。ウチダエスコでは、介護保険業務支援システム「絆」を通じて、制度改正への対応はもちろん、日々の記録業務や請求業務の効率化を支援しています。
令和9年度介護報酬改定への備えとして、介護システムの見直しや情報収集をご検討中の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。