2024.04.08

LCMとはどんなサービス?選び方や注意点などを解説します

まずはLCMの概要や必要性を確認し、サービスについての理解を深めましょう。

LCMとは

LCMとは、「Life Cycle Management(ライフサイクルマネジメント)」の略語で、企業におけるIT資産管理を支援するためのアウトソーシングサービスを指します。ハードウェアの選定から導入、運用、処分まで、ITのライフサイクルに関する業務をすべてカバーできるため、業務の効率化やコストの削減などが期待できます。

LCMの必要性

LCMの必要性が高まっている理由には、次のようなことが挙げられます。

データ管理を簡単に

IT資産管理には、時間や資金、人員など膨大なリソースを要します。ワークフローの策定やシステムの管理はもちろん、端末を廃棄する際にも慎重な作業が求められます。ITの運用や廃棄も代行してくれるLCMサービスなら、データ管理を簡単に、かつ効率的に行えるでしょう。

IT機器の普及に対応するため

ビジネスのIT化、デジタル化が著しく進む中、IT機器の普及に対応するためLCMを利用する企業も増えています。2020年に新型コロナウイルスが流行して以降、リモートワークやテレワークを推進する動きが高まったことも要因の一つでしょう。また、タブレット端末の普及や電子帳簿保存法の改正などにも後押しされる形で、今後ますますビジネスに必要不可欠なアウトソーシングサービスとして注目されるでしょう。

LCMサービスのメリット

LCMサービスを利用すると、さまざまなメリットが得られます。ここでは、代表的なメリットを5つ解説します。

セキュリティが強化できる

LCMサービスでは、専門的なノウハウに基づいてIT運用を行うため、セキュリティのさらなる強化が見込めます。特に端末を廃棄する際、残っているデータを消去する必要がありますが、自社で行った場合、完全に削除しきれず復元される可能性があります。しかし、LCMサービスなら磁気消去や物理破壊などの適切な方法を使い、ハードディスク内のデータを復元されない形で抹消してくれるため、情報漏洩の心配がありません。また、すべての端末のセキュリティ設定を同一にすることで、より強固なセキュリティ環境を構築でき、ウイルス感染やサイバー攻撃のリスク低減に役立ちます。

デバイス設定の統一

機器の選定やキッティング作業も一括して任せられることで、デバイスの設定が統一され、安定したIT環境を確立できます。また、マニュアルの作成といった付随業務も委託できるため、社内におけるITの定着化が進めやすくなるのもメリットです。故障やトラブルの際も、専門的なサポートを受けて早期復旧が可能となり、業務への支障を最小限に抑えられるでしょう。

人材リソース削減

LCMサービスを利用すると、自社でIT管理をする必要がなくなるため、IT関連業務における人材リソースを大幅に削減できます。リソースに余裕が生まれる分、本来の業務やプロジェクトに注力でき、業務品質や生産性の向上などの効果が得られるでしょう。こうした人材リソースの有効活用ができるアウトソーシングサービスを利用することは、多くの企業が難航しているIT人材不足の問題を解消できる点でも有効と言えます。

コスト削減

LCMサービスであれば、人材を確保せずともIT資産管理ができるため、エンジニアを雇う費用や人件費を削減できます。情報システム部などの部署を設置する必要もないことから、自社で運用・管理を行うよりもLCMサービスを活用するメリットのほうが大きいと言えるでしょう。

また、業者によってはレンタルやリースも行っているため、端末の購入費用を抑えたい場合にも有効です。端末の更新・交換もしやすくなり、常に最新テクノロジーを業務に取り入れられるようになるでしょう。

SDGsへの貢献

LCMサービスの利用により、持続可能な社会構築のための国際目標である「SDGs」の「つくる責任使う責任」への貢献が期待されます。

ごみ問題が世界中で注目されてから、家庭ごみの排出量は年々減少傾向にあるものの、企業が出す事業ごみの削減率はいまだ停滞しているのが現状です。そのため国内企業には、今後IT機器も含めた事業ごみの減量化、リサイクルへの取り組みが求められるでしょう。

LCMサービスは、不要になったIT機器を単なるごみとして廃棄せず、使用可能なものはデータを抹消したうえで、リユース品として販売、再利用しています。廃棄が必要なものについても、環境に配慮した適切な方法で処分してくれるため、安心して利用できるでしょう。

規模の大きい企業

LCMは、規模の大きい企業でよく利用されています。社員数の多い製造企業やIT関連の企業で主に利用されており、パソコン単体を購入するよりもLCMのサービスを導入するほうが、コストを大幅に抑えることが可能です。また、充実したサポート体制により、トラブルがあっても安心して業務にあたれるため、重宝されています。

近年では中小企業でも利用が広まっている

LCMのサービスは長らく大手企業の利用がメインでした。しかし、近年では中小企業でLCMのサービスを利用するケースも増えてきています。特に、起業したての中小企業が、パソコンだけを購入するよりもLCMのほうがコストが抑えられるという理由で利用するケースが多くあります。また、ITに関するサポートを得たいという中小企業が増えていることも、LCMのサービスが利用されている要因の1つです。

LCMサービスの選び方

LCMサービスの業者にはさまざまなタイプがあるため、自社に合ったサービスを選ぶことが大切です。具体的には、次のポイントを基準にして選ぶとよいでしょう。

IT機器の種類

LCMサービスによって、対応できる機器や機種は異なるため、自社で使用している機器を任せられる業者を選びましょう。複数の機器を使用しているなら、さまざまな機種に対応できるマルチベンダーを行っている業者がおすすめです。使用している機器・機種が統一されている場合は、特定の機器のみに対応している業者だと、手厚いサービスが受けられます。

サービス内容

LCMサービスは、それぞれに得意とするサービスや強みがあるため、自社が必要とする業務をカバーしてくれる業者を選ぶことがポイントです。たとえば、IT機器の設定・メンテナンス・ヘルプデスクなどの運用を重視する場合は「運用特化型」、セキュリティ面を強化したいなら「情報管理特化型」のサービスが向いています。

利用するサービスに迷う場合は、以下のチェック項目に沿って比較・検討してみるとよいでしょう。

機器

  • 自社で使用している機器
  • 機種に対応しているか
  • 機器のレンタル、リース、買取を行なっているか

キッティング

  • マスターPCの作成を行なっているか
  • どのくらいの作業量
  • 作業範囲で設定を行うか
  • マスターPCに適応する周辺機器を準備・保管できるか

サポート体制

  • 従業員からの問い合わせやトラブルに対応できるか
  • サポート手段(メールや電話、社内常駐など)

機器の廃棄・データ消去

  • データの消去方法はソフト消去、磁気消去、物理破壊のどれを行っているか
  • 不要になった機器の下取りは可能か

セキュリティ対策

自社が求めるセキュリティレベルやセキュリティポリシーを満たせるかどうか見極めることも忘れてはなりません。廃棄時の適切なデータ処理はもちろん、機器の監視や機器の持ち出し登録などができるサービスだと安心です。サービスによってカバーできるセキュリティ対策の範囲や内容も異なるため、自社の業務内容や機器の用途なども考慮し、比較・検討してみるとよいでしょう。

LCMサービスを運用する4つのステップ

LCMサービスでは、主に次の4つのステップにわたってIT資産を管理します。それぞれ詳しく確認していきましょう。

調達

機器のスペックや費用、各部署の状況など、企業のニーズに応じてハードウェアの選定・調達を行います。企業が購入したり、物流会社から直接LCM業者に配送したりなど、調達方法はさまざまです。サービスによっては購入以外にも、リースやレンタルを行なっていることもあります。

導入

導入目的に合わせて運用方法や移行計画を決めたうえで、機器の設定(キッティング)やデータ移行を行います。キッティングには、クローニングと呼ばれるマスターPCを使った方法を用いることが多く、これにより大量の機器を一度に設定できます。特に、マスターイメージの作成には専門知識が必要なだけでなく時間もかかるため、アウトソーシングを視野に入れるのがおすすめです。

運用

従業員からの問い合わせや不具合への対応に備え、ヘルプデスクを設置します。日常の業務で生じるトラブル以外にも、メンテナンス・調査・修理などさまざまな対応が求められますが、すべてLCM業者で行うため、企業で運用する必要はありません。

廃棄

ハードウェアを廃棄する際は、データをバックアップしたのち、磁気消去や物理破壊などの方法でデータを抹消します。企業で扱われるデータには個人情報や機密情報が含まれているため、復元できない形で消去しなければなりません。データの削除が終わったら、必要に応じて返却、機器の入れ替えを行います。

LCMサービスがおすすめの企業の特徴

LCMサービスの導入に向いている企業には、次のようなものがあります。1つでも該当するなら、LCMサービスの導入を検討してみましょう。

デバイスの導入にコストがかかる

LCMサービスがおすすめの企業として、デバイスの選定・キッティング・データ移行に多くのコストがかかる企業が挙げられます。たとえば、新入社員の一括採用を行なっている企業では、1度に大量の端末を導入する必要があるため、LCMサービスを利用すれば、導入コストを抑える効果が期待できます。

また、社内に複数の部署を抱えている場合、部署ごとに個別の設定を行わなければならず、すべての作業を自社で賄うことは現実的ではありません。しかし、LCMサービスなら、あらゆるソフトウェアの設定を一括して任せられるため、時間的・人的コストをかけずに済むでしょう。

IT資産管理者がいない、または少ない

LCMサービスは、IT資産管理者がいない、または少ない企業にも向いています。

大規模の会社では、IT機器の運用・管理に多くの人手が必要になりますが、IT人材不足が深刻化する中、相当数の人材を確保することは困難です。また、IT人材が足りないために、遠隔地や支店まで十分な管理が行き届かないといった事情を抱えている企業もあります。通常業務に加えてIT資産管理も兼任している場合は、担当者への負担が大きくなり、業務効率が下がることも予想されるでしょう。LCMサービスであれば、IT資産管理をまるごと代行してくれるため、適任な人材がいなくても効率的な運用ができます。

セキュリティーリスクを回避したい

「セキュリティリスクを回避したい」「セキュリティレベルを上げたい」など、ITに関わるセキュリティ面の悩みにもLCMサービスが有効です。特にIT資産管理の体制が十分に整っていない企業では、デバイスの入れ替え・修理を行う際に情報漏洩などのリスクがあります。IT機器の専門的なサポートが受けられるLCMサービスを利用すれば、最新の対策をしつつ、セキュリティリスクを軽減できるでしょう。

まとめ

LCMサービスは、ハードウェアの選定から廃棄まで、IT機器のノウハウや技術を活用した専門的なサポートを受けられます。企業に導入することで、IT資産管理の効率化やセキュリティ対策の強化、IT人材不足の解消など、さまざまなメリットが得られます。

自社の大切な情報、IT資産を守るためにも、この機会にLCMサービスの利用を検討してみてはいかがでしょうか。

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