神戸野田高等学校 様
ICT教育事例紹介
2022.05.11

ICTの活用とグループワークやアクティブ・ラーニングで、「21世紀型の学び」を実現するために環境を整備。

教育の柱として、「21世紀型の学び」の授業づくりと、「生徒が主役の開かれた学園づくり」の2つを掲げる神戸野田高等学校様。生徒参加型のアクティブ・ラーニング、探究型の授業「Noda探究」、ICT機器を活用した授業に力を入れ、多様な教育プログラムを実践しています。
神戸野田高等学校のICT教育について、情報システム部部長で、情報科の教員である西垣内昌喜先生にお話を伺いました。

(2021年11月取材)

最初は共用からスタート。一人一台iPad導入までの歩みと成果。

神戸野田高等学校では、現在、一人一台iPadを導入しています。
「生徒が学習に向かう原動力は、そのおもしろさだと考えています。私たち教員は、学ぶ喜びを生徒に伝えるために、一人ひとりに応じた方法で丁寧にフォローしています。その結果、勉強がわかるようになった、おもしろいと言い、急に成績が伸びる生徒が増えています」と語る西垣内先生に、これまでの経緯をお聞きしました。

情報科の教員である西垣内昌喜先生

2016年度:スタート時は、共用のiPadを1クラス分導入

神戸野田高等学校に最初に生徒用のiPadが導入されたのは、2016年度です。大学特進コースの生徒が課外授業で英語の教材を見るといった活用をしていました。

「ICT化に向けた方向性を探っている段階でした。学校で購入して共用とするのか、生徒に購入してもらい個人持ちとするのか。いろいろな方法があるなかで、まずは共用から始めようということになり、1クラス分のiPadを購入しました」

2017年度:特進Global英語(GE)コース新設時に、GEコースを対象に個人持ちiPadを導入

翌年度から特進Global英語(GE)コースが新設されることが決まります。GEコースの特徴は、担任をネイティブと日本人の2人体制にしたこと、海外語学研修の導入、ICTの積極的活用などです。そして、既存の教室を全面リニューアルして、アクティブ・ラーニングの教室(グローバルアリーナ)を作りました。また、ICTを活用した授業を始めるために、個人持ちのiPadを導入。日常的に授業で使用するほか、海外の人々とマンツーマンで実施する英会話などでの活用が始まりました。

2018年度:新入生全員に個人持ちiPadを導入。現在はすべての生徒がiPadを活用

2018年度の新入生から順次、iPadを導入することになりました。現在はすべての生徒が自身のiPadを持ち、さまざまな授業で活用しています。

例えば社会科では、資料を提示したり、映像教材を視聴したりしています。また家庭科では、調理実習や被服製作の手順をスライドや動画で見せています。英語科では、英単語を見せて即座に発音させるフラッシュカードのような使い方もしています。その他、調べものやプレゼンテーション、共有のホワイトボード機能を使ったグループ学習など、探求の時間をはじめ、いろいろな授業で積極的に活用されています。

「カメラ機能は授業以外でも高い頻度で使われています。生徒は文化祭や遠足などの行事の時だけでなく、授業の板書などの記録にも使っています。大学入試に向けて動画ポートフォリオを作っている生徒もいます。運動部ではお互いのフォームを撮影し合い、動画を見てフォーム矯正の参考にするといった使い方もしています」

ICTを活用した設備を整備し、多様な経験ができる場を創る。

神戸野田高等学校は、アクティブ・ラーニングや、ICT機器を活用した授業に力を入れています。その取り組みを体現している教室を見学させていただきました。

ICTを活用した英語漬けの空間「グローバルアリーナ」

グローバルアリーナは普通教室を改修して作ったICT機器完備のコミュニケーションルームです。コース設計時に議論を重ね、「リラックスできる空間にしたい」「英語の本が並び、自分で選べるようにしたい」「壁面にホワイトボードがあって、プロジェクターの投影やグループディスカッションに活用したい」といったアイデアを実現した教室です。イメージはアメリカのハイスクールで、教室内では英語しか話してはいけないルールを設けています。

デジタル教科書を使用した授業や、放課後の英語多読指導、オンライン英会話を通した海外の人たちとの交流、探究型学習などさまざまな取り組みに活用しています。採用したデスクは台形型で、2人、3人、4人、6人と、いろいろな人数でのグループワークを行いやすいのが特徴です。卒業までに英検準1級を取得することを目標に、通常授業に加え、英検対策集中講座を実施。壁面に合格者を掲示するスペースが設置されていて、現在、準1級2名、2級25名、準2級53名、3級35名の計115名の氏名が掲示されています。

【グローバルアリーナ】全面ホワイトボードの壁面と台形のデスク
【グローバルアリーナ】 計115名の英検合格者の氏名を掲示

「GEコースはアクティブな生徒が多いです。英検受験者が多いのもその一例です。取得級が掲示されることが励みになっているようで、当初想定した以上の生徒が英検を受験しています。掲示スペースも足りなくなったので、後から増やすことになりました。」

グループワークを重視した第1PC教室

神戸野田高等学校にはPC教室が2つあり、第1PC教室は、1年生の情報科の必修授業用です。以前は有線LAN仕様のデスクトップ型WindowsPCが設置されておりましたが、グループワークやアクティブ・ラーニングに不向きでした。そこで、2019年夏のリプレースのタイミングで、ノート型のWindowsPCを採用し、Wi-Fi運用にすることにしました。その際、グローバルアリーナで好評だった台形型のデスクを採用。状況によって机を動かし、PCも自由に移動できるようになったため、グループワークも容易に行える教室になりました。

【 第1PC教室 】可動式の什器+Wi-Fi運用でグループワーク等も可能
【 第1PC教室 】 全面ホワイトボードの壁面とプロジェクタ

第2PC教室は、動画やプログラミング授業を意識しMacを導入

第2PC教室は、2・3年生の選択授業用です。2021年の夏に教室内のPCのリプレースを行いました。こちらはプログラミングやグラフィックスなどの授業をするため、スペックや通信速度を重視し、デスクトップ型の有線LAN仕様のPCを採用しています。当初は以前と同じWindowsにする予定でしたが、高性能になった新機種のMac miniを採用しました。また、動画編集やプログラミングに適したOSであることもMacを採用した理由でした。デスクトップ型であっても、グループワークやアクティブ・ラーニングが行える環境を実現させるため、6人掛けの円形のデスクを採用しました。

【 第2PC教室 】ユニークな形状 のデスク
【 第2PC教室 】Mac miniで動画編集やプログラミングを学ぶ

「とても使いやすいデスクです。生徒間のディスカッションが活発に行えるし、生徒の作業の様子を見守ることができます。
生徒には、2種類のPCに触れることを通して、プログラミングやグラフィックスを学ぶだけでなく、WindowsとMacの違いも知ってほしいと考えています」

ICT機器をコミュニケーションと効率化のツールとして活用。
次は、思考のツールとしての活用をめざす。

西垣内先生に、現在の課題をお聞きしました。

「ICT化に積極的な教員はどんどん活用していますが、二の足を踏んでいる教員もいます。その差を解消し、教員全体のICT活用力の底上げをしたいですね。横のつながりで広がるほうが伝播しやすく、新しいアイディアも生まれやすいので、他の教員がどのような取り組みをしているのかを知ってもらうように心掛けています。
ICT機器は、コミュニケーションツール、効率化のためのツール、思考のツールなどさまざまな用途で使われます。連絡事項の伝達や、課題の提出はコミュニケーションです。授業内容をスライドにして投影すれば、黒板に書くより効率的です。こういった使い方はだいぶ浸透してきました。
次に目指すのは、思考のツールとして積極的な活用です。これまでは、教員だけが資料を持ち、配布されたプリントの空欄を埋めるのが勉強だったかもしれませんが、これからは、資料はすべて、あらかじめ生徒に公開し、そのうえで、何を勉強するのか、ICT機器をどのように活用するのか、という視点をもつことが大事です。そのために何をしたらよいのか、他の教員とも協力して試していきたいです」

お客さまについてCLIENT

神戸野田高等学校様

神戸野田高等学校 様

ホームページ https://www.kobenoda-h.ed.jp/
所在地 兵庫県神戸市長田区海運町6-1-7
学校の紹介 大正15年(1926年)に神戸野田高等女学校として設立され、創立95年の歴史を誇る伝統校。建学の精神は「質実剛健にして進取の気性をもて」。2011年から2019年にかけて男女共学化。3つの特進コースを設置し、「1人ひとりを大切にする教育」をスローガンに掲げ、いかなる状況変化にも対応し、豊かな人間性と多様な価値観をもってグローバル社会を生き抜く人材の育成に全力で取り組んでいる。

導入製品・サービス PRODUCTS / SERVICE