2023.02.13

校務支援システムの導入・活用実態を調査

校務支援システムの活用実態を調査。導入状況は?導入後の変化は?導入校の生の声を、データ活用のポイントとともに紹介します

教育の情報化が進み、学校内では日常的にICTが活用されるようになってきました。校務支援システムもそのひとつです。

しかしながら、校務支援システムの導入や活用状況には学校によって差があるようです。とりわけ私立校では、「独自の教育方針やカリキュラムにシステムを合わせることが難しい」「予算確保が大きな課題」といった声が多く聞かれ、公立校に比べシステム導入へのハードルが高い傾向が見られます。

そこでウチダエスコでは私立校の情報化の実態を調べるために、全国の私立中学校・高等学校を対象にしたアンケート調査を実施しました。その結果から見えてきた校務支援システムの活用実態を、校務の情報化のポイントとともに紹介します。

「教育の質の向上」に向けたデータ連携・活用のポイント

学校でのICT活用においては、校務支援システムを帳票の電子化としての機能にとどめず、教育の質の向上を図る手段として活用することが期待されています。それでは「教育の質の向上」とは、具体的にどのような取り組みを指すのでしょうか。

文部科学省(以下、文科省)が重視するのは「効果的なデータの連携・活用」です。校務支援システムや授業・学習系システムを日常的に活用すると、システム内には生徒の出欠席や成績、アンケート、学習ドリル、作品など、さまざまなデータが蓄積されていきます。そうして集約されたデータを連携させることで、生徒一人ひとりの学習や生活の様子から学級や学校全体の状況に至るまで、学びの現状を可視化することができます。

可視化されたデータには、さまざまな活用法が考えられます。例えば、個々の生徒に合わせて学習面・生活面の指導を充実させたり、学校運営の課題を正確に把握し改善に役立てたり、保護者に向けてより納得性のある説明をすることも可能になるでしょう。

データの連携・活用の流れ

(株式会社内田洋行 教育総合研究所発行「教育の質の向上に向けたデータ連携・活用の取組」より)

文科省が実施した「次世代学校支援モデル構築事業」でも、実証地域の各学校が取り組んだデータ連携・活用の多様な事例が報告されています。教育をよりよいものにしていくための流れの中で、校務支援システムはその基盤となる役割を期待されているのです。

学校現場も期待を寄せる、校務の情報化がもたらすメリット

教育改革の軸としての活用以外にも、校務支援システム導入による校務の情報化は多くのメリットをもたらします。

文科省が示す校務支援システム導入のメリット

文科省の「校務支援システム導入・運用の手引き」で、校務支援システムを活用するメリットとして挙げられているのが「業務改善」です。
例えば
・グループウェアを用いて朝礼や会議の時間を短縮できる
・各機能間でデータを引用できることで、転記の手間やミスを軽減できる
・教職員間の密な情報共有によって、指導や授業を改善できる
など、学校において喫緊の課題となっている教職員の業務負担軽減をはじめ、授業改善など教育の質の向上に直結するメリットも期待されています。

「校務の統一化」も業務改善のひとつとされています。校務支援システム導入にあたって必要となる現行業務の見直しは、不要な作業の削減や効率化のきっかけになり、業務の属人化の改善にもつながります。

この他に、紙の印刷物の削減などによるコスト改善や、セキュリティ対策がなされたサーバーで校務関連のデータを保管することによる情報セキュリティ対策上のメリットも示されています。

アンケート調査から見える学校現場の期待

ウチダエスコが実施した私立中学校・高等学校の教職員を対象としたアンケート調査でも、校務支援システムの導入目的として最も回答が多かったのは「教職員の業務負担軽減」でした。次いで「校務の統一化(標準化)」「校務業務にかかる時間の削減」「教職員間の情報共有」が続き、校務支援システムによる業務改善への期待の高さが伺えました。

「校務支援システムを導入している」とお答えした方へお聞きします。校務支援システムを導入する際のメリットとして、どのようなことがあると感じていますか?重視したものを上位1位から5位までお答えください。(n=204)

※スコアについて
回答1つにつき、1位は5点、2位は4点、3位は3点、4位は2点、5位は1点とし、以下の式に当てはめて算出した。
スコア=((N1×5+N2×4+N3×3+N4×2+N5×1)/(n×5))×100
(1位の数=N1、2位の数=N2、3位の数=N3、4位の数=N4、5位の数=N5、サンプル数=n)

文科省が示すメリットを含め、校務支援システムは次世代の学校教育の実現に向けたさまざまな役割を期待されていることがわかります。

校務支援システム導入と活用の実態

では、実際の教育現場での校務支援システムの活用状況はどのようになっているのでしょうか。私立校を対象に行った前述のアンケート調査の結果から、導入と活用の実態を紹介します。

私立校での導入率は約半数。公立校に比べ遅れが目立つ結果に

校務支援システムを導入しているかを聞いたところ、「導入済」との回答は約半数にとどまり、4分の1以上が「未導入」という結果になりました。

校務支援システムを導入していますか?(n=377)

文科省「令和3年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果」によると、全国の公立学校における校務支援システム整備率は81.0%となっています。ここから、公立校に比べて私立校では校務支援システムの導入が遅れていることがわかります。自治体主導で導入が進む公立校に対して、学校独自に予算の確保や導入の検討、運用などを行わなくてはならない私立校は、導入へのハードルが高いことが推察されます。

「情報の一元管理による業務改善」を実感する導入校の声

そうした中でも校務支援システムを導入している私立校では、導入後の校務業務にどのような変化を感じているのでしょうか。「導入済」と回答した人に「導入してよかったこと」を聞いたところ、以下のような結果になりました。

「校務支援システムを導入している」とお答えの方にお聞きします。
校務支援システムを導入してよかったことは何ですか?当てはまるものを5つまでお答えください。(n=204)

上位の回答には「情報が自動的に転記されることによる手間やミスの削減、自動的な情報共有」などが並び、情報の一元管理による校務の効率化を実感する声が多いことがわかります。導入には高いハードルがありながらも、導入校ではその成果が着実に現れているようです。

一方で調査からは、導入校が校務支援システムに対して抱える不満の実態も見えてきました。

【不満の声からわかった、校務の情報化を阻む学校現場の課題とは?】

どのような不満があったのかについては、アンケート内容および回答の詳細を載せた調査レポート「私立中学校・高等学校における校務支援システム活用実態調査」をご覧ください。レポートでは、私立校における校務支援システムの活用実態のほか、導入のハードルを越えるためのポイントもご紹介しています。ぜひ貴校での校務支援システム導入・見直しの検討にお役立てください。

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