2023.04.18

ケアプランデータ連携システムとは?
概要と活用メリット、導入の条件をまとめて紹介

ケアプランデータ連携システムとは、介護現場において、利用者のケアプランを効率的に共有・連携するためのシステムです。本システムを居宅介護支援事業所と介護サービス事業所間で活用できれば、情報の正確性・安全性を高めながら業務効率の向上が期待できます。本稿では、ケアプランデータ連携システムの基礎知識や導入メリット、利用方法について解説します。

ケアプランデータ連携システムとは

まずはケアプランデータ連携システムとはなにか、概要を見ていきましょう。

ケアプランデータ連携システムの概要

ケアプランデータ連携システムとは、介護分野で、利用者のケアプランを共有するためのシステムです。介護分野では、居宅介護支援事業所と介護サービス事業所間でやり取りされるケアプランの一部情報をシステムによってデータ連携します。

ケアプランデータ連携システムは、介護現場の負担軽減や職場環境の改善の取り組みの一環として提供されており、介護ICT化により、職員の業務負担を軽減しながら生産性向上を図るのが目標です。ケアプランデータ連携システム事業は、厚生労働省の依頼により、国民健康保険中央会がシステム開発・運用を担当、2023年4月から本格稼働が予定されています。

介護現場では、多くの時間が事務的な作業に割かれており、担当者の業務時間が圧迫されがちです。各現場において、アナログな作業をデジタルに置き換え、データ連携することで作業時間・コスト削減が期待されています。

具体的には、サービス提供票・居宅サービス計画書の作成と共有にあたり、印刷・送付・転記行っていた作業をシステム上で完結することで、介護現場の負担軽減や効率化・生産性向上に貢献します。

ケアプランデータ連携システムの構成

ケアプランデータ連携システムは、介護事業所に設置される「ケアプランデータ連携クライアント」と運用センターに設置される「ケアプランデータ連携基盤」から構成されます。介護事業所ユーザー側は、インターネット回線経由で「ケアプランデータ連携クライアント」から事業所間のケアプランデータのやり取りを実施します。

ケアプランデータ連携システムで対象となる書類は、以下の通りです。

居宅サービス計画書第1表、第2表
サービス提供票(予定)第6表、第7表
サービス提供票(実績)第6表、第7表

ケアプランデータ連携システム導入メリット

ケアプランデータ連携システムを事業所で導入することで、以下のようなメリットがあります。

ケアプランの共有・連携が容易になる 

ケアプランデータ連携システムを導入すると、利用者のケアプランを異なる事業所間での共有が可能です。

情報共有がスムーズに行われるため、利用者の状態やケアプランをより正確に把握できるようになるでしょう。 

業務効率化

導入後は、提供票の共有にかかる時間が3分の1に短縮されることが試算されています。

また、標準化されたデータを使用することで認識の違いがなくなり、確実なケアが実施される点もメリットです。電子証明書や暗号化などの利用で強化されたセキュリティにより、安全性が担保され、効率的かつリスクが排除された情報の共有が実現します。

情報管理が効率化される

ケアプランデータ連携システム導入により、利用者の情報が一元管理される点もメリットです。

ファイルやフォルダの違いで、内容が異なるといった不備の発生を防止でき、データの入力や更新もシステム上で行うため、手作業によるヒューマンエラーを減らせます。

これにより、情報管理の効率化や精度の向上が期待できるでしょう。

介護の質が向上する

ケアプランデータ連携システムの活用により、利用者の状態やケアプランをすべての担当者が共有でき、介護現場での判断や対応が迅速かつ正確になります。

また、情報共有の円滑化で事業者同士の連携がより強化されるため、ケアの質の向上につながるでしょう。

コスト削減が可能

情報管理の効率化や情報共有の円滑化は、事務作業にかかる人件費や印刷代、通信費、交通費といった経費が不要になるため、コスト削減につながります。

手作業によるヒューマンエラーや、データ漏れなどから発生する利用者への不必要な処置・手続き対応も回避可能です。

担当者への心身の負担軽減

介護サービス事業所側は居宅介護支援事業所から送られてきたケアプラン(予定)、居宅介護支援事業所側は介護サービス事業所から送られてきたケアプラン(実績)を再入力する必要がなくなります。

データの自動反映により、転記ミスや作業量の削減、精神的負担の軽減などにつなげられるでしょう。

ケアプランデータ連携システム導入による業務フロー

ケアプランデータ連携システムを通じて、以下のような業務フローが実施されます。

居宅介護支援事業所(ケアプラン:予定)側

①介護ソフトにより作成したケアプランデータを連携クライアントにアップロード

②電子証明書付与が行われ、連携基盤により暗号化

③介護サービス事業所の連携クライアントへ

④ファイルダウンロード後、介護ソフトに取り込み

介護サービス事業所(ケアプラン:実績)側でも上記と同様の流れによって処理が行われます。

居宅介護支援事業所(ケアプラン:実績)側

ケアプランデータ連携システムの流れと利用条件は以下の通りです。

システム導入の流れ

ケアプランデータ連携システム導入に際しては、以下のような手順で実施します。

①利用申請:ケアプランデータ連携システム専用サイトから申請を行う

②クライアントソフトインストール:国保中央会のWebサイトからクライアントソフトをダウンロードし、介護事業所のパソコンにインストール

③電子証明書取得:電子請求受付システムのサイトから利用申請とダウンロードを行う

システムの利用条件

●ケアプランデータ連携システムを使用するためには、データをやり取りする双方の事業所がシステム利用登録をする必要があります。※クライアントソフトのインストールは、基本的に1事業所1端末。

●クライアントソフトをインストールするためには、Windows10以降のパソコン環境が必要です。

また、システムと連動するために、厚生労働省のケアプラン標準仕様に準拠した介護ソフトの設定が求められます。利用料金は、ケアプランデータ連携システムの年間ライセンスが1事業所あたり2万1,000円(税込み)です。

ケアプランデータ連携システム活用で介護現場の効率化を図ろう

ケアプランデータ連携システムを活用することで、手作業で実施されていた煩雑な業務を大幅に減らし、安全な情報共有を実現できます。

担当者の業務負担も軽減しながら、統一性のある情報がケアの各現場にもたらされることで、確実性が強化され、業務の効率化を促進します。

ケアプランデータ連携システムを利用するためには、厚生労働省のケアプラン標準仕様に準拠した介護ソフトが必要です。

ケアプランデータ連携システムの導入をお考えの際には、ケアプランデータ連携(ケアプラン標準仕様)に対応した「絆Core高齢者介護システム」のご活用をぜひご検討ください。

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