



千葉県立市川工業高校様では、2019年度からICTへの取り組みを強化し「GIGAスクール構想」に先行する形で学習環境の整備を進めていました。2020年度には、電気科が先行して「一人一台iPad」の運用を開始。2023年度からは、全校で「一人一台iPad」を実現し、Appleデバイス専用MDMソリューション「Jamf Pro」も導入されました。県立高校におけるICTの第一人者でもある電気科の片岡先生と皆森先生に、iPadの活用方法や「Jamf Pro」による管理・運用についてお話を伺いました。
(2024年11月取材)
複雑なものをわかりやすく教える、伝えるために、
「全員で前を見る」のではなく「各自が手元で理解できる」授業へ
市川工業高校様が「一人一台iPad」を導入したきっかけについて伺いました。
「私が赴任してきたときは、授業でのスマートフォンの使用は禁止されていて、ICT設備も何もありませんでした。そのため、生徒たちが卒業研究で何かを調べたり、写真を撮影したりということも、わざわざ許可をもらったり、コンピュータ室に行かないとできないという状況だったのです。そこで、“せめて卒業研究のときだけでもスマートフォンを使わせてあげたい”と会議で提案したところ、特に反対意見もなく『じゃあやってみよう』ということで、限定的ではありますがスマートフォンの使用が認められました。そんな出来事があり、以前に勤めた学校で「一人一台iPad」を導入した実績もあったので、授業でもiPadを使用できるように話を進めました。工業高校の教科書はとても難しく、それを生徒に教えることもまた難しいのです。穴埋めの問題や、白黒でプリントされた写真やイラスト、プロジェクタで映された資料を使った授業には、やはり限界があります。カラーで、手元でハッキリ・大きく見えることは、離れたところから大型モニターを見るよりもはるかに効果的です。生徒ひとり一人がしっかり資料を見て、自分で考える力を養うためにも、iPadを使うしかないだろうと。そこで、まずは電気科で「一人一台iPad」をスタートさせる運びとなりました」(片岡先生)

2023年度からは、全校で「一人一台iPad」を実現。iPadの使用をベースに授業が展開され、さまざまな形で活用されています。
「Google Classroom」で資料(PDF)を配布
iPadを使用した授業をベースとすることで、授業資料の印刷にかかる時間と手間を大幅に軽減。授業開始前や授業中も「Google Classroom」からPDFの資料をダウンロードできるので時間のロスがなく、授業が中断することもありません。また、先生方もプリント用紙のサイズを気にしなくてよいため、文字間や行間を詰めたり、図を小さくして無理矢理情報を詰め込む必要がなく、生徒が見やすい形で資料を作成することが可能です。
手書きノートアプリ「Goodnotes」を活用
配布された資料(PDF)に手書きでメモや情報を書き込めるように、アプリ「Goodnotes」を活用。プリントされた紙の資料とは異なりデータで保管できるので、大切な資料を紛失してしまう心配もありません。文字を上手に書くことが苦手な生徒も、「Goodnotes」ではiPadのハードウェアキーボードで文字を入力することも出来るため、1人1人の能力に応じた方法で、授業メモを取るということが可能になりました。
生成 AIを有効活用
有料契約をしているAdobe Creative Cloudで、生成AIによる画像やイラストの作成も授業で実施。生成元が明確なAdobeのツールを使うことで、プロンプトを工夫しながら著作権をクリアした図版を作成できます。
電気科3学年全員のチャットルームを作成
メールでの連絡とは別に、電気科の3学年全員をメンバーとするチャットルームを使用したコミュニケーションを構築。ちょっとした連絡事項や確認事項をチャットで発信することで、一斉かつスピーディに情報を共有でき、学年の垣根を越えた縦のつながりも生まれています。
全校生徒のiPadをJamf Proで集中管理
セットアップやアプリのアップデートの省力化を実現
市川工業高校様では、Appleデバイス(Mac 、iPad 、iPhone 、Apple TV)専用のMDMソリューション「Jamf Pro」を導入しており、生徒のiPadを集中管理しています。初期のセットアップをはじめ、OS やアプリのインストール・管理を自動化し、管理・運用を省力化。常に最新かつ安全な環境での使用を実現しています。
「Jamf Proを導入して特に良かったと感じているのは、セットアップの手間がなくなったことと、生徒の端末の様子がブラウザ上で一覧できるという点です。OSのバージョンアップも積極的にさせているので、状況を確認してバージョンアップをお願いすることができます。
Apple製品の仕様として、アプリの購入やインストールをするにはApple Accountが必要です。Jamf Proを導入する前は、生徒個人もしくは保護者のApple Accountを使用し個人管理のもとで利用していたため、アカウント名やパスワードがわからなくなった場合の対処等に苦慮していました。
Jamf Proの導入後は、Apple School Managerで学校用のApple Accountを用意し、アプリを一括購入できるようになり、Apple School ManagerとJamf Proとの連携によりJamf Proからアプリが管理配布することが可能になりました。iPadにApple Accountが設定されていなくてもアプリを利用することができるようになり、以前にしていたような対処が必要なくなりました。
学校側で用意したアプリについては「Self Service」というカタログアプリを使用して、生徒が利用したいときに自由にインストールやアップデートを行えるようにしています。あと、学校側で端末本体のパスワードを初期化できるという点も、とてもありがたいですね」(片岡先生)

ウチダエスコがいるから、質問できるという安心感
導入開始から今後の運用も見据え、ウチダエスコのサポート体制について伺いました。
「状況に応じた回答や提案をいつも迅速にしてくださるので、とても助かっています。以前、有償アプリの購入(アプリ内課金)ができずに困っていた際には、的確なアドバイスをいただき、メーカー側に掛け合って解決したこともありました。教員は異動がありますので、私たちが異動しても管理できる人を育てていかないといけませんが、ウチダエスコさんという“聞ける存在”がいてくれるのは、絶対的な安心感がありますね」(片岡先生)

iPadの特性を生かした授業やアプリの配信に取り組み
学びの可能性を広げ・深められる環境へ
より良い学習環境の構築に向けて、今後の展望や取り組みについて伺いました。
「紙(アナログ)から、PDF(デジタル)に変わったというだけではなく、これからはiPadの特性を生かした授業を展開したり、活用をしていければと考えています。たとえば、教育系のアプリの配信や有料アプリの貸し出し、iPadのカメラを利用した機械学習等の展開も視野に入れています。」(皆森先生)
「生徒たちには、勉強ではなく学習をしに学校へ来なさいと言っています。自宅にはない環境がここにはありますし、PCはMacもWindowsもあります。卒業後は半数以上の生徒が就職するので、学校生活のなかでさまざまなデバイスに触れて、それぞれの特性を知ったり気づきを得ることはとても大事なのではないかと思います。確かな知識と技術を持って社会に出てもらえるように、生徒たちにとって最適な環境を整えたいですね。」(片岡先生)
「片岡先生とお話しさせていく中で、生徒に対する教育方針や、卒業後に社会進出する生徒の将来を見据えた取り組みに感銘を受けました。
その思いを実現できるよう、BYADでのiPad導入・管理への試みに支援させていただき
生徒には安全かつ自由な発想で使用できる環境を、先生方には管理のしやすい設計を心がけました。」
構築したデバイス管理環境が、ICT教育のさらなる向上に貢献できていれば、大変光栄です。(ウチダエスコ ネットワークエンジニア 三垣)ウチダエスコは、今後も学校現場に寄り添い、状況に応じたサービス・サポートを提供してまいります。

組み合わせた研究を行っています

お客さまについてCLIENT

千葉県立市川工業高等学校 様
ホームページ |
学校HP https://cms1.chiba-c.ed.jp/ichiko/ 公式note https://ichiko-hs.note.jp/ |
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所在地 | 千葉県市川市平田3-10-10 |
施設の紹介 | 1943年創立。機械科、電気科ならびに、県内で唯一となる建築科、インテリア科を設置するなど、実践的な専門知識と技術を学べる環境が整えられている。また、ICT教育への取り組みを強化し、即戦力となる人材の育成に注力。これからの時代に必要な知識・技術を身につける教育を通じて産業発展を支え、地域社会にも貢献している。 |